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オンライン日本語教師のちゃそです🏐
大好きな『ハイキュー!!』のセリフから日本語の表現を学ぶシリーズです!
今回は、「なんか」というとりたて助詞に注目します。
(とりたて助詞は、ある言葉を目立たせて、話し手の気持ちや考えを伝えるときに使う言葉です。)
「なんか」は、「〜など」のくだけた言い方で、話しことばでよく使われる表現です。
話し手の気持ち(軽視・あきらめ・驚き・謙遜…)がにじんでいるんです!
この記事では、「なんか」の意味や使い方を説明しながら
実際にマンガ『ハイキュー!!』の中で、どのように使われているのかを見ていきます!

ツッキーの一言に込められた、彼の過去と本音を一緒に読み解いていきましょう!
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ハイキューで学ぶ「~なんか」
では、実際のマンガの場面を見てみましょう!
引用:『ハイキュー!!』第10巻 第88話 幻覚ヒーロ―(古舘春一/集英社)
春高予選を控えた夏休みに、関東で夏合宿をします。
関東の強豪校との合同練習が続くなか、どんどん熱を帯びていく烏野メンバーたち。
でも、月島だけは本気になろうとしていないように見えます。
実力も頭脳も持っているのに諦めようとする月島に、思い切って意見をぶつける山口。
いつも冷静な月島が強く言い返します
月島「絶対に“1番”になんかなれない どこかで負ける
それをわかってるのに 皆どんな原動力で動いてんだよ!?」

冷たく聞こえるその言葉の裏には、長い時間をかけて積み重なった思いがあるんだよね…
文法解説:「~なんか」ってどんな意味?
「なんか」はとりたて助詞で、「など」のくだけた言い方です。
話しことばでよく使われます。
話し手の気持ちがこもっている言葉なんです。
「~なんか」にこもる、二つの気持ち
- ①価値が低い・くだらないと思っているとき
- 例:マンガなんか読んでも意味ない。
→マンガに対して「価値が低い」「くだらない」と考えている
- ②とんでもない・手が届かないと思っているとき
- 例:海外旅行なんか、夢のまた夢だ
→海外旅行を「自分には無理だ!手が届かない」と考えている

「なんか」は、強い感情をこめて、目立たせる言葉なんだね
とりたて助詞「なんか」がない文と比べてみます。
絶対に1番になれない
単純に「1番になれない」ことを話しています。
絶対に1番になんかなれない
「なんか」を入れると、「1番」に対して手が届かない・到底たどり着けないという考えが見えますね!
よく一緒に使われる表現
「なんか」は、あとに“~ない”などの否定の文がくることが多いです。
マンガなんか読むな。
旅行なんかとても行けない。
→ 行けない、できない、言えない、なれない…など
月島の「~なんか」は防衛反応?
月島の「なんか」には
- 「1番になるのは自分には無理だ」という思い
- その目標に近づこうとして傷つくのが怖い気持ち
が重なっているようです。

ツッキーの「なんか」は
「手が届かない」+「期待したくない」気持ちを込めた防御の言葉なんだね…

ツッキーの“なんか”は心を守る盾だったんだね(´;ω;`)
「なんか」にひそむ感情の奥
本気になるのが怖い。
勝てない現実を受け入れているように見えて、実は「裏切られたくないだけ」。
その背景には、「兄の経験」があります。
月島の過去と兄の存在
引用:『ハイキュー!!』第10巻 第86話 月の出(古舘春一/集英社)
バレーが上手くて、大好きだった兄。
中学ではバレー部のエースで、月島にとっては誇りだった。
でも実は、高校では活躍できず、ベンチ入りもできなかった。
後にそれを知った月島は、大きなショックを受けます。
- 「頑張っても報われない」ことを目の前で見てしまった
- 本気になると、あとで苦しくなるのを知ってしまった
だから月島は、自分を守るために「1番に“なんか”なれない」と言って壁を作るようになったのです。

大好きな兄の辛そうな姿を見てしまったからこそ、だね
心に突き刺さる山口の叫び
最初から全て諦めたような月島に、山口が叫びます!
引用:『ハイキュー!!』第10巻 第88話 幻覚ヒーロ―(古舘春一/集英社)
山口:「そんなモンッ プライド以外に 何が要るんだ!!!」
この言葉も、ツッキーの「なんか」に対する強いメッセージです。
「勝ちたい」「負けたくない」「みんなと同じように自分の体を操りたい」
そんな山口の本音が詰まった名セリフです。

名シーンだあああ!
でも今回の記事では、あくまでツッキーの「なんか」に込められた感情に焦点を当ててきました。
山口の叫びについては、また別の記事でじっくり掘り下げたいと思います!

乞うご期待!
まとめ:月島の「なんか」は心を守る盾だった
たった一言、「なんか」。
でもその中には、ツッキーのあきらめ・すねた気持ち・そして本当は頑張りたいという心が詰まっていました。
「1番になりたくない」んじゃない。
「1番になれる」と思いたくない、希望を持ちたくないだけ。
そして「負けたくないから、本気になるのが怖い」から挑戦しない。
月島なりの心の防衛反応だったんですね…!

ツッキーの物語は、この“なんか”を越えて、少しずつ動き出します!!!
最後まで読んでくれてありがとうございます!
感想やお気に入りのシーンがあれば、ぜひコメント欄で教えてくださいね!
この記事を書くために使ったもの紹介
引用元について
本記事で使用している画像・セリフは著作権法第32条に基づき、教育・批評を目的として引用しています。
- 作品名:『ハイキュー!!』
- 著者:古舘春一
- 出版社:集英社
- 引用巻数・話数:第10巻 第86話 月の出 第88話 幻覚ヒーロー