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オンライン日本語教師のちゃそです!
先週、大戸屋のハイキューコラボメニューを食べに行きました。
私が選んだのは稲荷崎高校のメニュー!
テーブルには北信介の台紙が置かれていて、こちらをじっと見ています…。
「ちゃんと食べんねん…」

そう言われているかのような気持ちになり、量が多くてお腹がいっぱいだったけれど、最後まで残さず完食しました!笑
北さんといえば、「ちゃんとやんねん」という名言で知られるキャラクター。
彼は「やるべきことをちゃんと出来る人」です。
きちんと掃除し、三食きちんと食べ、勉強もバレーの練習もちゃんとこなす人。
引用:『ハイキュー!!』第31巻 第274話 頭(古舘春一/集英社)
…あれ?「ちゃんと」と「きちんと」って、何が違うんだろう?
というわけで、調べてみました!
「ちゃんと」と「きちんと」の違い
辞書にはこうありました。
【きちんと】
①良く整理されていて乱れていない状態だ。(用例:洋服をきちんとたたむ。きちんとした部屋。)
②規則正しく。(用例:きちんとした生活。)
引用:例解新国語辞典
【ちゃんと】
どこにも足りないところやまちがいがなく、しっかりとしているようす。おもにはなしことばでつかう。(用例:ちゃんとした会社)
引用:例解新国語辞典

似ているようで、微妙に違うね?
さらに、Meshclass 日本語が解説している動画では、こんな説明がありました。
【きちんと】
「きちんと」は正確で規則正しい。ものの性質や状態が整っている。すきまがなく、ぴったりしている。
このような意味があるのが「きちんと」です。だから、『考える』『説明する』『整理する』など、1から10まで、順番に進めていくような、やり方やプロセスを大切にする言葉とセットで使われることが多いです。
【ちゃんと】
「きちんと」に比べて、やり方や順番はさほど大事じゃないけど、しなければならないことが正しい形でできているという意味が強いです。
だから、『見る』『聞く』『いう』『できる』『分かる』のように、しなければならない行動を表す言葉とセットで使われることが多いです。

Meshclass 日本語は本当にすごいチャンネル!
つまり
- 「きちんと」 = やり方・プロセス重視
- 「ちゃんと」 = やるべきこと・義務の完遂重視
といえそうです。
具体例で見てみよう
いろんな場面で見てみましょう。
ちゃんと/きちんと テストで名前を書く
- ちゃんと名前を書いてね
- 名前欄に自分の名前を書くこと自体
忘れずに書く
▶書くべきことを書く
- きちんと名前を書いてね
- 他の人が読めるようにバランスを気をつけて書く
丁寧に整った字で書く
▶書き方に注意する
ちゃんと/きちんと お金を払う
- ちゃんとお金を払った
- 払うべき相手に払う
払うべき時に払う
▶踏み倒さず払った
- きちんとお金を払った
- 過不足なくピッタリ払う
約束通り、期日通りに払う
▶ルール・順序を守って払う
ちゃんと/きちんと ごはんを食べる
- ちゃんと食べる
- 残さず全部食べる
食事を取る
▶食べるべきものを食べる
- きちんと食べる
- 三食規則正しく食べる
栄養バランスよく食べる
▶時間通り・丁寧に食べる
どの例も、「どちらでも使える」場面が多いですよね。
でも、微妙にニュアンスが違います。

「ちゃんと」の方が「やるべきことをやる」感じ?

「きちんと」はルールとか時間とか順序とか、そういうこを気にしてる感じかな?

ただ、すごく微妙なニュアンスの違いなので、どっちを使っても変な感じはしないですよね
類義語使い分け辞典には、こんな記述があります。
「ちゃんと(する)」はすべての「きちんと(する)」に置き換わり、正統的・伝統的基準に合致している様子を表し、恥・体面・体裁といったものと関係する。
引用:類義語使い分け辞典p269-270
つまり、「きちんと」が使える場面では、「ちゃんと」で置き換え可能なんです!
だから違和感なく置き換えられます。
なぜ北信介は「ちゃんとやんねん」なのか
引用:『ハイキュー!!』第31巻 第274話 頭(古舘春一/集英社)
北信介は稲荷崎高校の主将ですが、選手としてのスペックはそこまで高くありません。
技術的には「まあうまい方」という程度で、高校で試合に出たのは3年になってからで、中学3年間はスタメンどころか、ユニフォームすらもらえませんでした。
それでも北さんが試合に出ると、チームの空気がピシッと引き締まります!
北さんの自信は「他の連中より強い」というものではなく、「自分はしくじらない」という確信です。
その確信は、日々の積み重ねから生まれています。
祖母の教えを守り、バレーも勉強も掃除も、全てに手を抜かない。「ちゃんと」やる。
そうした毎日が、「練習で出来る事は本番でも必ずやる」という揺るぎない自信を作り上げているのです。
「反復・継続・丁寧は心地ええんや」
北さん自身、こう言っています。
「反復・継続・丁寧は心地ええんや」
これが北さんのやり方です。
毎日、一つ一つのことを「きちんと」やる。それを反復し、継続し、丁寧に積み重ねていく。
その結果、全体として「ちゃんとやる」状態になる。
つまり
- 個別の行動を「きちんと」やる
- それを積み重ねることで
- 全体として「ちゃんと」やれている
という構造なのです。
彼は毎日、あらゆることを「反復・継続・丁寧」に積み重ねている。
その結果、「ちゃんとやる」状態になっているのです。
もし北さんが「きちんとやんねん」と言ったら、どうなるでしょう?
「きちんと」だと:
- 一つ一つの行動の質に焦点
- プロセスの丁寧さ
- 几帳面さ
- やや個人的な性格の話
になる感じがします。
それに比べ「ちゃんと」だから:
- やるべきことを全てやる姿勢
- 全体としての信頼性
- 責任感
- 主将としての重み
が感じられるように思います。
北さんは技術を教える人ではありません。
彼が伝えるのは、「選手として、人として、やるべきことをやれ」という姿勢です。
類義語辞典には「ちゃんと」は恥・体面・体裁といったものと関係する言葉だ、とありました。

北さんの「ちゃんとやんねん」には、まさにこの意味が込められているね!
細かい技術や手順ではなく、人としての筋を通すこと。
それが北信介の哲学なのだと思います!!
まとめ:きちんとは「型」ちゃんとは「全体」

「きちんと」と「ちゃんと」は、多くの場面で置き換え可能です。
でも、微妙にニュアンスが違います。
- 「きちんと」 = やり方・プロセス・状態に焦点
- 「ちゃんと」 = やるべきこと・義務・全体に焦点
この違いを理解した上で「どっちも使えるよね」と言うのと、理解しないまま「どっちでもいい」と学習者に伝えるのは別物ですよね。
北信介の「ちゃんとやんねん」という言葉選びは
技術論ではなく、人生論。プロセスではなく、姿勢。
ちゃんとやれる人が少ない中で、ちゃんとやる人がいかに強いのかが北さんを見てるとわかりますね!✨
最後まで読んでくれてありがとうございます!
この記事を書くために使ったもの紹介
参考文献など



