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オンライ日本語教師のちゃそです!
とりたて助詞「は」の使い方について、いろんな説明があって、混乱したことはないですか?

対比の「は」、否定の「は」、限度の「は」、新情報・旧情報…
実は「は」の用法はひとつです。
「は」はトピック(主題)を示します。
とはいっても、対比の「は」、限度の「は」は何なの?どこから来たの?と思いますよね

私は思います!そしてひたすら混乱します!
この記事では「は」の用法と、マンガから実際の「は」の使われ方を見てみようと思います。
「は」と「が」の違いについてはこちら↓
「は」はトピックマーカー
「は」と「が」について理解するのにおススメの海老原峰子著「日本語教師として抜きん出る」にはこうあります。
「は」の意味としてよくみられる誤解について少し補足しておきましょう。
「は」は「トピック」である場合と、「他は知らないが」とか「他は違うが」のような対比の意味になる場合があるなどと説明されていますが、これは適切ではありません。 トピックの役目を返上して、新たに対比という役目を請け負うというわけではないからです。
トピックの肩書きを持ちつつ、あくまでも文脈によっては対比の意味を含むだけのことです。文脈によってしか決まらないものは、その言葉(「は」)が本来持つ意味ではありません。
要するに、「は」の本来の役目はトピック(主題)を示すこと、それだけ。
「対比」「限度」などは「は」が本来持つ意味ではなくて、文脈によって付与されるものです。

「は」はトピックマーカー。
つまり「〇〇は」とすることで、「〇〇について言えば」「〇〇についての話をします」という印になります。

「は」に「対比」「限度」の意味を持たせるのは文脈
「は」はトピックマーカーで、「対比」「否定」「限度」は文脈によって付与されるものだと言いました。
ではここで、桃太郎の冒頭を思い出してみましょう
昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
「おじいさんは」「おばあさんは」はそれぞれの文のトピックになっています。

おじいさんについての話…、おばあさんについての話…をしているわけです
では、こちらのマンガ『ファミレス行こ。』の一コマを見てください。
引用:『ファミレス行こ。』上巻 第8話 (和山やま/KADOKAWA)
成田:「来月また東京行くから焼肉行こ」
聡実:「焼肉は行きたい」
ハイキューも見てみましょう
引用:『ハイキュー!!』第10巻 第86話 月の出(古舘春一/集英社)
西谷:「もっと食え!保たねえぞ!」
聡実:「西谷さん胃は大きいんですね」
「焼肉は」も「胃は」も、なんとなく含みのようなものを感じませんか?

焼肉は行きたいけど、他に行く気はないというか

胃は大きいけど、他のことは大きくない、みたいな
海老原先生が「『対比』『否定』『限度』などは『は』が本来持つ意味ではなく、文脈によって付与されるもの」とおっしゃっていました。
そこに私の解釈を含めてつけ加えてみると
「会話にはいろんな文脈があるからこそ、『は』でトピックとして取り上げられなかったものの含みが生まれる」
のだと思いました。
漫画のシーンで詳しく見てみましょう
マンガで見る『は』の文脈
引用:『ファミレス行こ。』上巻 第8話 (和山やま/KADOKAWA)
このマンガは中学生のある夏、ひょんなことからヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)のカラオケの先生になった中学生の聡実くんが大学生になってからのお話です。
大学1年生になった聡実くんは東京で「普通の大人」を目指して生活しています。
ヤクザとつるむべきではないとわかっていながらも、あの夏出会った成田狂児と再び縁がめぐり始めます。
そんな聡実くんのもとに狂児から「来月また東京行くから焼肉行こ」というLINEが届きます。
「焼肉は行きたい」
「焼肉に関して言えば、行きたい」ということです。
「焼肉に行きたい」でも意味は通じます。
でもこの場面で聡実くんは「焼肉は」とトピックを絞り込んだのです。
「普通の大人を目指し」てはいるものの「ヤクザとの腐れ縁が続いている」
聡実くんの複雑な背景を知っている読者には、「焼肉」だけをトピックに絞り込んだことで
トピックとして取り上げられなかったもの=「狂児(ヤクザ)に会うこと」の含みが伝わってきます。
「狂児(ヤクザ)に会う」のは自分にとってよくないことだけど
「焼肉に行きたいんや。だから行くねん。」という、言葉にされなかった聡実くんの言い訳のような気持ち!

狂児が目的じゃなくて、焼肉が目的🍖と言い聞かせる聡実くん
これは「は」がトピックマーカーでありながら、聡実くんの置かれた状況という文脈が
「他は知らないが」とか「他は違うが」のような「対比」という意味を付与しているのです。

聡実くんの気持ちと食欲は誰にも止められない!
ハイキューでも見てみましょう。
引用:『ハイキュー!!』第10巻 第86話 月の出(古舘春一/集英社)
こちらはハイキュー!!の東京合宿シーン。
西谷はすごい食欲でしっかりとご飯を食べています。
さらに「もっと食べろ」と言ってくるので、月島は言います。
「西谷さん胃は大きいんですね」
西谷は低身長ながら圧倒的な守備力を誇る頼れるキャラです。
一方の月島は長身でクレバー、皮肉が得意なキャラとして読者には知られています。
「胃が大きいんですね」でも事実としては同じことを言えます。
でも月島は「胃は」と、「胃」にトピックを絞り込みました。
西谷の低身長を知っている読者には、胃だけをトピックに絞り込んだことで
トピックとして取り上げられなかったものが伝わってきます。
「(体は小さいですけど)胃は大きいんですね」

月島らしい清々しいほどの嫌味!皮肉✨
こちらも『は』自身が、対比や皮肉を意味しているのではありません。
月島と西谷のキャラクターや場面の背景という文脈が付与したものです。

キャラクターの特徴や、物語のストーリーがわかるとより楽しめるね!
まとめ:「は」=トピックマーカー
「は」の用法はひとつ、トピックマーカー。
「対比」「限度」などはあくまで文脈が付与するものでした。
文脈が大事だと言っても、授業中や調べものをする時は、どうしても一文だけで考えてしまうことが多いですよね。

日本語教師を始めた頃は、このせいでずっと悩んでいました
好きな作品なら、話の流れもキャラクターの特徴もわかっていますよね。
文脈がわかりやすいと思います。
そして、キャラクターや場面の背景への理解が深いほど、漫画のセリフがもっと豊かに読めます。
そして漫画を読むことで、日本語についての理解も深まっていく。
そんなやり方を楽しんでいこうと思います!
最後まで読んでくれてありがとうございます!
この記事を書くために使ったもの・参考にしたもの紹介
こちらの本には「は」について、「~は~が構文」や「うなぎ文」「こんにゃく文」についても詳しく書かれています!
引用元について
本記事で使用している画像・セリフは著作権法第32条に基づき、教育・批評を目的として引用しています。
- 作品名:『ハイキュー!!』
- 著者:古舘春一
- 出版社:集英社
- 引用巻数・話数:第10巻 第86話 月の出
- 作品名:『ファミレス行こ。』
- 著者:和山やま
- 出版社:KADOKAWA
- 引用巻数・話数:上巻 第8話

