広告

『何ですか?』『何を食べますか?』……『何』は『なに』とも『なん』とも読むけど、どうやって使い分ければいいんだろう…?

『色鉛筆は何色(なんしょく)ですか?』『何色(なにいろ)が好きですか?』……両方あるけど、違いは何だろう?
オンライン日本語教師のちゃそです!
先日、授業中に「なに」と「なん」の読み方について質問がありました。
正直ドキッとしてしまいました。
日本語教師なら、誰もが一度は受けるこの質問。
何【なに】と【なん】
— ちゃそ@オンライン日本語教師 (@chaso_japanese) July 8, 2025
初級レッスン「趣味は何ですか?」とかやってるときに質問されると一瞬ドキっとするやつ!
今日聞かれたから復習しといた緊張したー! pic.twitter.com/qJcmf3xhGu
「何」の読み方の使い分けには、大きく分けて3つのパターンがあります。
- 後ろの音が「d・n・t」なら「なん」になりやすい
- 「ですか」や数・時間・順番を表す言葉とセットなら「なん」
- どんなもの?→「なに」いくつある?→「なん」
①が一番シンプルです。
いろいろな視点からの説明方法を知っておけば、状況に合わせて説明できると思います。
③は「何色」のように「なにいろ/なんしょく」と2通りに読めるものについてです。

①②③それぞれ重なっている説明もあるので、覚えやすいものを使ってください
<1>発音で分ける
後ろに続く音で判断する方法があります。
「何」の後ろが 「d」「n」「t」の音 で始まる言葉の場合、「なん」と読むことが多いです。
何ですか(なん deすか)
何の日(なん noひ)
何と言いますか(なん toいいますか)
これは、発音のしやすさからだと思われます。
「なにですか」と「なんですか」を口や舌の位置を意識しながら言ってみてください。

はっきり発音しようとすると、「なんですか」の方が発音しやすいかも
<2>助詞の後は「なに」、特定の組み合わせは「なん」
基本的には<1>の発音で分ける方法で十分ですが
初級の場合など、サクッと説明する時にはこちらも有効です。
全てを網羅してるわけではないですが、ざっくりと分けるのに便利な方法です。
①「なに」と読むとき
- 「何」の後ろに助詞がくるとき
- 「何」を単独で使うとき
このときは「なに」と読むことが多いです。
(例)
何を食べますか?(なにを たべますか?)
何が好きですか?(なにが すきですか?)
えっ、何(なに)?
「なん」と読むとき
- 「ですか?」をつけて聞くとき
- 「何」+「数」「時間」「順番」の組み合わせのとき
このような場面では、「なん」と読むのが自然です。
(例)
何ですか?(なんですか?)
何歳(なんさい)、何年(なんねん)、何枚(なんまい)、何時(なんじ)…
※助詞が後ろについても「何(なん)と言いますか?」や「何(なん)でもいいです」のように「なん」と読むこともあります。
<1>の発音で分ける方法のほうが確実ではあります。
<3>「なに」「なん」どちらにも読めるとき:意味の違い
「なに」と「なん」どちらでも読めるものがあります。
この場合、読み方によって意味が違うので注意が必要です。
- 「なに」:どんなもの?をたずねる
- 「なん」:数(=いくつ)をたずねる
くわしく見ましょう
「なに」と読むとき:どんなもの?を尋ねる
「なに」と読むときは、「どんな色?」「どんな種類?」という性質や内容をたずねるときです。
(例)
何色(なにいろ)…どんな色?(赤、青、緑…)
何部(なにぶ)…どんな部活?(野球部、吹奏楽部…)
何県(なにけん)…どこの県?(東京、北海道…)

この書類、何色(なにいろ)のペンで書けばいいの?

黒だよ~
「なん」と読むとき:数(=いくつ)を尋ねる
「なん」と読むときは、「いくつあるか」「何種類か」という数量をたずねます。
(例)
何色(なんしょく)…何色ある?(3色、5色…)
何部(なんぶ)…いくつの部数?
何県(なんけん)…いくつの県?(近畿地方は2府5県)

そのペン、何色(なんしょく)あるの?

三色だよ~ん、便利だよ!
<4>授業での教え方のポイント

<1>の発音と<3>の意味の違いだけを教えればいいんじゃない?
ここまで色々なルールを紹介しましたが、授業では全てを一度に教える必要はありません。

レベルと状況に合わせましょう!
大切なのは、学習者のレベルと、その時の状況に合わせて説明することです。
【実際の授業例】ホームパーティーの買い出し場面
先日、私の初級クラスでこんな場面がありました。
ホームパーティーの買い出しで相談している会話の中で、こんなやり取りが出てきたんです。
A:飲み物は何(なに)がいいですか?
B:ん~何(なん)でもいいですよ。
学習者から「『なに』と『なん』、どっちですか?どうして違うんですか?」と質問が。
その時の状況は
- レベル:初級
- 教授法:直接法(日本語だけで教える)
- 時間:授業終了時間が迫っていた
この状況で、私はシンプルに、今日の内容だけに絞って説明しました。
授業で伝えたこと
その日の授業では、とりあえずこの2つだけ伝えました。
- 「何」のあとに助詞(を・が・に …)がついたら 「なに」
- 「何」のあとに「でも」や「ですか?」がついたら 「なん」
授業後のフォロー
授業後、学習者向けのコメント欄に、もう少し詳しいルールを翻訳して残しました。
- 助詞をつけて言うときは「なに」が多い
- 「ですか」や、数・時間の言葉とセットなら「なん」
- 後ろの音が「d・n・t」なら「なん」
反省と気づき
正直、授業中は「発音で教える方法もあったな…」と後から思い出しました。

恥ずかしいことに、焦ってすぐに思い出せなかったんです・・・
でも、その時のレベルや内容で、混乱しないように内容だけに絞ったのは良い判断だったかもと思います。
全てを完璧に教えられる教師には憧れます。
でも、学習者が今必要としている情報だけを、シンプルに伝えることも大切です。
今回は「何がいいですか」と「何でもいいですよ」のときに使い分けができればOKとしました。

後々また生徒さんが「なに」か「なん」か悩んだとき、思い出して考えるきっかけになると思うことにしました…!
まとめ
「何」の読み方の使い分けについて説明しました。
- 後ろの音が「d・n・t」なら「なん」
- 「ですか」や数・時間・順番が続くと「なん」
- 「が・を・に」などの助詞や、単独で使う場合は「なに」
- 種類は「なに」、数は「なん」
学習者のレベルと状況に合わせて、絞って教えられるといいと思います。
明日の授業で「何」の質問が来たら、ぜひ答えてみてくださいね!
この記事を書くのに使ったもの