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「試合をする」「試合をやる」どっちも言えるけど、何が違うんだろう…?
カジュアルかどうかの違いな気がするけど、それだけなのかな?
オンライン日本語教師のちゃそです!
「やる」と「する」は置き換え可能な場合が多いですよね。
結論:
「やる」と「する」は置き換え可能な場合が多いですが、「やる」は「する」に比べて:
- 主体の意志が強く感じられる(積極性・やる気・覚悟が伝わる)
- カジュアルな表現になる(くだけた言い方)
となります。
この記事では
- 「する」と「やる」の大まかな意味
- 置き換え可能な場合
- どちらか一方しか使えない場合
を紹介しながら、「する」と「やる」の違いについて解説します!

生徒さんに聞かれたときに、そのときどきでわかりやすく説明できるようにしていきましょう✨
ハイキューのセリフから考えてみよう
漫画『ハイキュー!!』に、こんなセリフがあります。
孤爪:
「最近思うよ…翔陽は面白いから翔陽達と練習じゃない試合やってみたいかもって 負けたら即ゲームオーバーの試合」
日向:
「…やろう“もう一回”が無い試合」
ここで2人とも「やる」を使っていますが、もし「する」に置き換えたらどうでしょうか?
孤爪「最近思うよ…翔陽は面白いから翔陽達と練習じゃない試合してみたいかもって 負けたら即ゲームオーバーの試合」
日向「…しよう“もう一回”が無い試合」

文法的には間違っていませんが、なんだか2人の強い気持ちが少しだけ伝わりにくくなるような…?
なぜ「やる」の方が合っている感じがするのか、見ていきましょう!
「する」と「やる」の基本的な違い
それぞれの意味を見ましょう。
「する」 = 抽象的な状況や、具体的な動作・行為を成り立たせること
「やる」 = あちらへ移動させる・意志を持った行為を成り立たせること
「する」は意味の範囲がとても広い動詞です。
一方、「やる」には「意志的な行為」という特徴があります。

具体例でみてみましょう!
「する」の使い方
「する」には、他動詞「~をする」と自動詞「~がする」があります。

「する」は意味範囲が本当に広いので、さらっと読んでください!
① 意志のない「~を する」(他動詞)
客観的な体の特徴・格好、表情、様子、態度、状態を表す:
- 「大きな目をしている」
- 「疲れた顔をしている」
- 「貧しい生活をしている」
生理現象:
- 「咳をする」「くしゃみをする」「あくびをする」
ケガや病気:
- 「けがをする」「やけどをする」「骨折する」
② 意志のある「~を する」(他動詞)
何かを身につける・つける:
- 「ネクタイをする」「帽子をする」「鍵をする」
職業・役職に就く:
- 「教師をする」「医者をする」「社長をする」
「~を」を省略できるサ変動詞:
- 「勉強する」「仕事する」「運動する」「電話する」
日常生活での活動:
- 「会議をする」「パーティーをする」「試合をする」
③ 自動詞の「する」
現象:
- 「音がする」「においがする」
- 「寒気がする」「吐き気がする」「予感がする」
副詞や形容動詞の状態:
- 「はっとする」「じっとする」「すっきりする」
- 「はっきりする」「がっかりする」「ぴったりする」
換算・時間の経過・値段・サ変動詞など:
- 「お金にして1万円」「少ししたら」「いくらしますか」「流行する」

うん!とにかく、いろいろな使い方があるのはわかった!!笑
「やる」の使い方
「する」に比べて、「やる」の方が意味範囲が狭いです。
「やる」には「意志的な行為」という特徴があることを、もう一度整理しておきましょう✨

ということは、「する」と置き換えられないものも多いってことだね?
「やる」は漢字で「遣る」と書きます。
みてみましょう。
① 行かせる・与える(やりもらいの表現)
※これは今回のテーマとは別の使い方です
行かせる:
- 「子供を学校にやる」= 子供を学校に通わせる
- 「娘を嫁にやる」= 娘を嫁に出す
与える:
- 「花に水をやる」
- 「犬にエサをやる」

最初にも書きましたが、これは「する」とは置き換わらない使いかたです
② 意志のある行為を継続して進める
「~をやる」という形で使います。
意志のある「する」の一部と置き換えることができます:
例えば
- 「勉強をやる」「仕事をやる」
- 「会議をやる」「試合をやる」
これは「する」と置き換えができます。

ここの違いが知りたい!
置き換えるとどう変わる?
「する」から「やる」に置き換えると:
- 主体の意志が強くなる
- 俗語的(カジュアル)な表現になる
「主体の意志が強くなる」とは?どういうことでしょう。
例えば気合を入れるとき「やるぞー!!」と言いますが「するぞー!!」とはあまりいませんよね。

「勉強するぞ!」みたいに「〇〇するぞ!」という形では使うけど、単体だと「やるぞー!」だよね
ちょっと怖い例ですが例えば人殺すことを「やる」と言ったり
喧嘩するときに「やんのかコラ」と言ったりもしますよね。

「やる」の方が勢いや主体性を感じる気がするね
チェックポイント
「やる」を使うと、自分のやる気や積極性、覚悟がより強く伝わる
「する」しか使えない例
「やる」に置き換えられない「する」には、以下のようなものがあります。
意志のない「する」(他動詞)
- 体の特徴:「大きな目をしている」
- 生理現象:「咳をする」
- けがや病気:「けがをする」
自動詞の「する」
- 音や匂いなどの現象:「音がする」「においがする」
- 値段:「いくらしますか」

「やる」は、意志のある行為に使うから、意志がない「する」には置き換えられませんね!
「やる」しか使えない例
以下は「する」に置き換えられません
- 行かせる:「子供を学校にやる」
- 与える:「花に水をやる」
- 俗語的な慣用表現:「一杯やる」「たばこをやる」「文学をやる」
①②は「する」とはそもそもの意味が違いますよね。
③は、くだけた言い方の決まった表現です。
注意が必要な例
置き換えが可能で意味もそんなに変わらないものも多いです。
「試合をやる」と「試合をする」ではそこまで差がないと感じます。(私の感覚ですが)
ですが「やる」を使うと品位に欠ける・文脈によっては「派遣する・与える」を意味するものがあります。
- 「医者をやる」
- 「学者をやる」
- 「電話をやる」
- 「ネクタイをやる」

職業についてや、改まった場面では「する」を使った方が無難ですね!
ハイキューのセリフを比較してみよう
それでは、最初のハイキューのセリフをもう一度比較してみましょう!
引用:『ハイキュー!!』第12巻 第107話 育ち盛り(古舘春一/集英社)
「やる」バージョン(原作)
孤爪:
「最近思うよ…翔陽は面白いから翔陽達と練習じゃない試合やってみたいかもって 負けたら即ゲームオーバーの試合」
日向:
「…やろう“もう一回”が無い試合」

2人の強い意志・覚悟が伝わる感じがする…✨

仲間同士のカジュアルな会話に合っているよね!
「する」バージョン
孤爪:
「最近思うよ…翔陽は面白いから翔陽達と練習じゃない試合してみたいかもって 負けたら即ゲームオーバーの試合」
日向:
「…しよう“もう一回”が無い試合」

文法的には正しいよね

でも「やる」に比べると、意志の強さがちょっと弱く感じるね!
置き換え可能な例なので、文法的にも間違っていません。
でも
- 孤爪と日向の強い意志・覚悟を表現したい
- 仲間同士のカジュアルな会話
であることを考えると、やっぱり「やる」のほうが合っていますよね✨
まとめ:「する」と「やる」は意志的な動作で比較しよう
「する」と「やる」の基本的は違いは
- 「する」 は意味の範囲が広い
- 「やる」 は意志的な行為にのみ使う
そして、意志的な行為には置き換え可能なものが多いですが、なんでも置き換え可能ではないという点も大事です。
「宿題をする」と「宿題をやる」ならそこまで違いは感じません。
でも、「ネクタイをする(身につける)」と「ネクタイをやる(あげる)」では文脈で意味が変わってしまうし
飲みに誘うなら「今夜、一杯やりますか?」の方が自然ですよね。
質問されたら、その場面に合った表現と、違いについてを伝えれらるといいなと思います!
最後まで読んでくれてありがとうございます!
この記事を書くのに使ったもの
引用元について
本記事で使用している画像・セリフは著作権法第32条に基づき、教育・批評を目的として引用しています。
- 作品名:『ハイキュー!!』
- 著者:古舘春一
- 出版社:集英社
- 引用巻数・話数:第12巻 第107話 育ち盛り

