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この記事は、前回の記事「【続編】『は』と『が』の違いに悩む前に知っておきたいこと」の続きです。
前回は、「日本語文の基本」や「格助詞」の働き、「副助詞」について学びました。
今回は、そこに「は」がどう関わるのか
つまり、「は」がどんなふうに文に加わるのかを見ていきましょう!
第4章 「は」は“話題”をあらわす助詞だった
「は」と「が」の違いを考えるとき、私たちはつい「主語」のことばかり気にしてしまいがちです。
でも、「は」の本当の役割は「トピック=話題」を示すこと。
しかも、それは文のどの部分に対しても使えるのです。
この章では、「は」がどのように“話題”を表すのか、くわしく見ていきます!
ちょっと復習:「格助詞」は何のためにある?
前の章でも学びましたが、まず大前提として
格助詞とは、述語と他の成分との関係を表す助詞 でしたね!
たとえばこうです。
夏休みに 教会で 友だちが 日本語を 教える

- に:いつ教えるのか(=時) → 夏休みに
- で:どこで教えるのか(=場所) → 教会で
- が:だれが教えるのか(=主語) → 友だちが
- を:何を教えるのか(=目的語) → 日本語を
というように、「が」「を」「で」などの格助詞は、 文の骨組みを作るうえで必要な情報を支えているのです。

文の構成する必須要素だよね
主題「は」=追加する副助詞
ここからは、副助詞「は」について考えていきましょう。
「は」は、トピック(主題)にしたい言葉に追加して使います。

つまり、「〇〇について話したい」というときに、「〇〇は」とするんですね。
そして、この「〇〇」の部分には、主語でも目的語でも、他の成分でもOKです!

「は」は文中のどんな成分にも付けられるのです
格助詞の後ろに「は」を追加する→トピックになる
「は」は、“文の骨組み”を壊さずに、どの言葉についても“トピック”にできます。
夏休みに 教会で 友だちが 日本語を 教える

この文で、たとえば「夏休みに」をトピックにしたいときは
夏休みには 教会で 友だちが 日本語を 教える
になります。

「夏休みに」に「は」をつけることで「夏休みに」を話題にしています。

【夏休みに】について、何をするの?何があるの?と説明を始めることができます。
つまり、「は」は格助詞の働きを残したまま、“主題”としてその情報を前に出す助詞なんです。

“夏休みには”って言ったら、「で、夏休みに何が?」って続きを知りたくなるよね?
それが“主題(話題)”=トピックってことだよ!
他の言葉をトピックにした例も見てみましょう
1)「夏休みに」をトピックにする場合

「夏休みに」に「は」をつけてトピックにして
「夏休みに」に焦点を当てて、「その時期について言えば、何がある・何をする」などを伝えたいとき。
(2)「教会で」をトピックにする場合

「教会で」について言うと、「夏休みに友達が日本語を教える」と説明しています
「教会という場所」で何かある・何かすることを言いたいときの文になります。
(3)「友達が」をトピックにする場合

「友達が」について「夏休みに教会で日本語を教える」と説明しています。
形の上でだけ「が」が抜け落ちて、「友達がは」になります。
「誰が教えるか」ではなくて、「友達の行動」について話したいときの文です。
(4)「日本語を」をトピックにする場合

「日本語を」について「夏休みに教会で友達が教える」と説明しています。
「他の言語ではなく、日本語を教えるんだよ」などの流れで使われそうですね。
つまり、「は」はこれから話したいことの後ろに追加して「話題にするよ!」と教えてくれる助詞なのです。
ここまで見てきたように、「は」は格助詞が付いたもなど文中のさまざまな成分をトピックにすることができます。
以下に、よく使われる組み合わせを表にまとめました
格助詞 | 格助詞+「は」 |
「へ」 | 「へ」+「は」=「へは」 |
「に」 | 「に」+「は」=「には」 |
「が」 | 「が」+「は」=「 |
「を」 | 「を」+「は」=「 |
「で」 | 「で」+「は」=「では」 |
助詞なし | 0+「は」=「は」 |
※「が」「を」(一部「に」も)は形の上では省略されますが、働き(意味)は残ります!

あくまでも、「は」は追加するものなんだね!

追加して、その成分をトピック(主題・話題)にするという働きですね
「は」と「が」に迷う原因【3つ】
「は」と「が」って、やっぱりややこしい…。
「は」と「が」の違いに悩む理由
その理由は、大きく分けて3つあるんじゃないかな?と思っています!
- 学校で「私は~」「これは~」が基本だと勉強してきた
- トピック(主題)になるものは文の先頭にくる
- 格助詞「が」の後ろに「は」がつくと「が」が消える
「~は・・・」が基本だと思っていた
日本語文の基本は(必要な情報)+【述語】でしたね。
でも、私たちは今まで学校でさんざん国語の勉強をしてきました。
その中で「私は田中です」「私は学校へ行きます」「これはペンです」など「私は~」「これは~」という文を基本に学んできました。
だから日本語文の基本は「~は・・・」だと思ってしまうのです。
そして、「は」がつくものが主題ではなく主語だと思ってしまうんです。

さらに「主題」って言われても、主題って何?!状態になる…

トピック(主題)になるものは文の先頭にくる
また日本語は英語のSVOように、主語を最初にいう必要はないと言いました。
主語も目的語も語順ではなく、格助詞で表せるからです。

ですが、主題になったものは文の先頭に置かれます。


「~は」が基本文だと思っているし、いつも文の先頭に来てるし主語だと思っちゃうよ~!
『が』のあとに『は』をつけると、『が』が消える…?
また、格助詞「が」の後ろに副助詞「は」をつけたとき、「が」が落ちるといいました。
「が+は」→「がは」になりますね。
消えちゃったんだから、置き換えられたんだと思いますよね!
どっちも主語だと思っちゃいますよね!

1番前にあるし、「は」がついてるし、主語だろう!って思っちゃいますよね…。
こうした誤解が、「は」と「が」の違いをわかりにくくさせているのかもしれません。
まとめ:主語と主題は別もの
「は」と「が」の違いに悩む前に知っておきたいことについて説明してきました。
- 「は」は追加するもの、「が」は文を構成するもの
- 「は」は文中のどんな成分も話題にできる
- 主題「は」とは「〇〇について話すよ」というサイン
- 「が」「を」は見えなくなっても働きは残る
「は」は格助詞の代わりではなく、 文の中の一部を“主題”としてマークする助詞でしたね。

主語って、「は」?「が」?」と迷っていた人も、少しスッキリしたかも?
もちろん、これですべてまるっと解決!…とはいかないかもしれません。
でも、「は」は“主語”ではなく“主題”を表すこと
そして「文の骨格に追加されるもの」だとわかれば、 「は」と「が」の違いがぐっと見えやすくなる
そう思ってもらえたらうれしいです!
今回、数年前に書いたものの再まとめとしてこの記事を書きました。
最初に書いたものと合わせて見てみると別の角度からまとめられるかもしれません↓
最後まで読んでくれてありがとうございます!
この記事を書くために使ったもの紹介