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オンライン日本語教師のちゃそです!
私は2023年から推しのVTuber「ぽこピー」の動画を見るのが日課になっています!
ぽこピーの良さを語った記事はこちら
先日の動画で、こんなやり取りがありました。
鉄棒で反対側にまわるやつって?「さかのぼり」でしたっけ?
「さかあがり」ですよ
「さかあがり」ですか。なんで「あがる」なんだろうね?難しいわ、日本語は
確かに、「階段で上(あ)がる」と言うときも「階段を上(のぼ)る」という時もある…。
ということで、「上がる」と「上る」の違いを調べてみました!
結論から言うと、
- 「上(あ)がる」は上に移動した到着点
- 「上(のぼ)る」は上に移動するまでの経路
を意識しています。
この記事ではもうちょっとイメージを膨らませながら
- 「さかあがり」と「さかのぼり」のイメージ
- 「上(あ)がる」と「上(のぼ)る」の違い
- 逆上がりが「上がる」を使う理由
について解説します!
※この記事では「登る・昇る」については言及しません。
「さかあがり」と「さかのぼり」のイメージ
まず、「さかあがり」と「さかのぼり」と聞いて、何をイメージしますか?
動画内でもつっこまれていますが、さかのぼりは「普通に坂のぼってる」イメージですよね!
漢字にすると「逆上がり」と「坂上り(登り)」と書く人がほとんどでしょう。
日本育ちなら、二つが別のものを指しているとわかります。
でも「上がる」も「上る」も”上”という漢字を使っているし、「上に向かう、移動する」意味があります。
じゃあなぜ、鉄棒の技は「さか “あがり”」なんでしょうか。
「上(あ)がる」と「上(のぼ)る」の違いとは?
まずは、「上がる」と「上る」の違いから考えてみます。
二つの違いは、焦点(注目・意識しているところ)です。
- 上(あ)がる・・・到達点に焦点
- 上(のぼ)る・・・経路に焦点
「類義語使い分け辞典」にはこう書いてあります。
あがる:到着点に焦点。全体的部分的・連続非連続の上への移動。完了など。
参照:日本語類似表現のニュアンスの違いを例証する「類義語使い分け辞典」p14
のぼる:経路に焦点。自分で動くものの全体的で、連続した上への移動など。
【例】8階にエレベーターで上がるつもりが、停電で歩いて上るしかない。
エレベーターは一気に上がるので「経路」にはならないが、8階までの階段は長い「経路」になる。
もし8階まで歩くのに何の苦労もなく、一目散に階段を駆け上がれる人なら、「上る」は「上がる」に置き換え可能。
「到着点+に上がる・経路+を上る」が使われる。
「8階にエレベーターで上(あ)がる」は、8階に到着することしか考えてない。
それに比べて「8階まで階段を上(のぼ)る」のは、大変ですよね。
途中で休んだりするだろうから、のぼっている階段(経路)を意識して「階段を上(のぼ)る」ことになります。
「上(あ)がる」は上に行くこと、「上(のぼ)る」は上に行く途中、過程を見ているって感じだね?
逆上がりとは?⇒一回転できたら成功!
じゃあ、どうして「逆上がり」は「あがり」なのでしょうか。
ところで、あなたは逆上がりができますか?私はできません…。
私は脚を振り上げて、ちょっと浮くことはできるけど、くるっと一回転できないんです。
一回転して、鉄棒の上に体があがって、やっと「逆上がり成功!」ですよね。
体を浮かせられるだけじゃ、まだダメなんだよね・・・
ようするに、逆上がりの焦点は一回転して鉄棒の上に来た「到着点」なのかな?と考えました!
チェックポイント
回転して、鉄棒の上に到着すると、逆上がり成功!
⇒逆上がりは到着点を意識している
私にとって、回転して鉄棒の上に上がるのは難しくて大変なので、「さかのぼり」と言いたくなりますが…笑
会話例でおさらい「上がる」と「上る」
次の会話の( )には、あがるとのぼるのどちらがいいと思いますか?
①会議室は5階です。エレベーターで5階に____てください。
②
A:「ジムに行きたくないんだけど、手軽にできる運動ってありますか?」
B:「アパートの階段を____たり下りたりするだけでも、いい運動になりますよ。」
①は「あがる」→「あがってください」がよさそうですよね。
「のぼってください」とも言えそうですが、なんとなく違和感をおぼえます。
②は「のぼる」→「のぼったり」が合いそうですね。
②の場面では、階段を使って運動しています。
上の階に到着することより、階段を使って移動(運動)している「経路」を意識している感じです。
「~に/~を」と、助詞でも判断できます。
上に到着することか、のぼっていく間を意識しているのか、ですね!
まとめ:「さかあがり」は鉄棒の上に到着してこそ成功!
「上がる」も「上る」も上に移動しますが
- 階段で2階に上(あ)がる・・・到達点(2階)に焦点
- 階段を上(のぼ)って2階に行く・・・経路(階段をのぼっている部分)に焦点
焦点(意識していること)が違いました。
「さかあがり/逆上がり」は、鉄棒の上に到着すると成功なので、到着点を意識している。
「さかのぼり/坂上り(登り)」は、傾斜がある道をがんばって歩く。その歩いている大変さに意識を向けています。
読み方一つで、言いたいことが変わるのがおもしろいですね!
※言語関係の方で、もし気になる部分や間違いがあれば教えていただけるとうれしいです!