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「子供が元気に育つように、親は頑張っている。」
「子供を元気に育てるために、親は頑張っている。」
「“ように”は無意志動詞、“ために”は意志動詞を使うんだよ」って言われたけど、
そもそも意志動詞と無意志動詞って何ですか?
オンライン日本語教師のちゃそです!
「意志動詞」「無意志動詞」って文字を見ると、なんとなく理解できるけど…
きっちり分けようとすると、よくわからなくてモヤっとすることありませんか?
この記事では意志動詞と無意志動詞について、例文を使ってざっくり紹介していきます。
意志・無意志動詞の使い方の大枠をとらえていきましょう!
意志動詞・無意志動詞って何?
簡単にいうと
- 意志動詞:自分の意志でコントロールできる
- 無意志動詞:自分の意志でコントロールできないもの
です。
くわしく見ましょう
意志動詞

自分の気持ちや考えで、何かをしようとすることをあらわす動詞です。
例えば「お腹がすいたからご飯を食べる」「喉が渇いたからジュースを飲む」「海で泳ぐ」などです。

やろうと思ったからやるって感じかな!
無意志動詞
自然にそうなる・自分の気持ちではどうにもできないことを表す動詞です。
- 人が主語にならない「ある」や、自然現象
- 人間の生理現象や心理現象
- 受身的な意味をもつもの
- 偶然という意味を内在するもの
などがあります。
人が主語にならない「ある」や、自然現象
「雨が降る」 「机の上にスマホがある」
雨が降ることや天気の変化は自分の意志でコントロールできません。
スマホを机の上に“置く”ことは自分の意志でできますが、「机の上にスマホがある状態」は自分の意志でコントロールできるものじゃないです。

「机の上にある」という”状態”そのものに注目すると、自分の意志ではどうにもできない感じがちょーっとわかりやすいと思います
人間の生理現象や心理現象
「むかつく 困る 飽きる」のような人間の感情です。
自然と湧き出てくる感情は、自分で普通はコントロールできません。

「飽きたい」「飽きよう」と思って飽きることは、ふつうできませんよね。
受身的な意味をもつもの
「子どもを授かりました」「儲かっちゃった」のような受身的な意味をもつ動詞です。
偶然という意味がふくまれているもの
「出会う」 「巡り合う」
「運命の人に巡り合う」など、偶然にそうなる意味がふくまれている動詞です。
「自動詞=無意志動詞」ではない!

自動詞は無意志動詞ってよく聞くんだけど…
いいえ、自動詞だから無意動詞だというわけではありません!
【自動詞ー他動詞】と、【意志動詞ー無意志動詞】の分け方は別の話です。
ですが、自動詞には無意志動詞が多いのも事実です。

自動詞と他動詞のペアがある動詞を例に見てみましょう
自動詞と他動詞のペアは、無意志動詞と意志動詞?
自動詞=無意志動詞、他動詞=意志動詞になるものが多いです。
「電気がつく」ー「電気をつける」
「電気がつく」は、“電気がどうなったか”に注目している文で、自動詞です。
たとえ、誰かがスイッチを押してくれたとしても、この文の主役は「人」ではなく「電気」。
だから、「電気がつく」という表現は、意志が感じられない=無意志動詞とされます。
「電気をつける」は他動詞です。
誰かがその人の意志で電気をつけるので、意志動詞です。
他にも
- ドアが開くードアを開ける
- 服が乾くー服を乾かす
- 火が消えるー火を消す
なども同じです。

ペアがある自動詞は無意志動詞が多いから、自動詞=無意志動詞だ!と思われやすいんだね
自動詞でも意志動詞
でも、もちろん!自動詞にも意志動詞があります。
「行く・泳ぐ・走る」などは自動詞ですが、意志動詞です。
「学校に行く」「海で泳ぐ」「公園を走る」
どれも自分の意志でコントロールできることですね!

自動詞だから無意志動詞ってことじゃないんだね!
「入るー入れる」は意志動詞
「入るー入れる」は自動詞・他動詞のペアですが、どちらも意志動詞です。
「チャイムがなったら教室に入る」
「鍋に水を入れる」
どちらも自分の意志で行動していますね!

自動詞・他動詞と、意志動詞・無意志動詞の区分は、まったく別の話なんだね!
意志動詞は”無意志的”にも使える

さっき「入る」も意志動詞って言ってたけど…
「光が部屋に入る」とか「カバンに入るサイズ」とかって無意志動詞っぽい気がする
意志動詞でも、文脈で”無意志的”に使うことができるんです。
初級を教える人のための日本語文法ハンドブックには、こんな説明があります↓
◆動詞は意志的な意味を表すことができる動詞と表すことができない動詞に分けられます。
「出会う」のように無意志的な行為を表すことはできるが意志的な行為を表すことができない動詞を無意志動詞、「書く」のように意志的な動作も無意志的な動作も表すことができる動詞を意志動詞と言います。

意志動詞は、意志的にも無意志的にもどっちも表せるんだね!

そうなんです!例文で確認してみましょう
- 書く
- 後ろの席の人にもよく見えるように、大きく書いた
- ぼんやりしていて間違った字を書いた
- 忘れる
- あんなヤツのこと、早く忘れよう!
- あ~家にスマホ忘れた!
- なる
- 海賊王におれはなる!
- 10時になりました。ニュースをお伝えします。
どうですか?上は意志的、下は無意志的に使われています。

おお~‼文脈によって変わってる!
意志・無意志動詞を厳密に分けるのは難しい
意志動詞は文脈で意志的にも無意志的にも使えました。
ということは、動詞だけを見て意志・無意志動詞をきっちり区別するのは難しいです。
他にも、意志動詞しか使えないといわれる形には
- 意向形
- 可能形
- 命令形や禁止形
などがあります。
でも無意志動詞のはずなのに、意向形や可能形などで使われているものもあります。
例えば「出会う」。無意志動詞の説明でよく出てきます。
辞書には「出会う」について、このように書いてあります。
その人に偶然あう。そのできごとを偶然経験する。
例)友人に出会う。災難に出合う。

”偶然”だから、自分でコントロールできないよね
でも最近では、無意志動詞の「出会う」を「出会おう」と意向形でよく見かけます。
たとえば、Amazonで「出会おう」と書かれたタイトルの本もよく見かけます
それに、「出会える」という可能形もよく見かけませんか?
他の動詞を見てみましょう
強く願う時や、呪う👻ような言い方で、命令形になっているものもあります。
- 風が吹く
- 雨が降る
- 困る
アナと雪の女王の「レット・イット・ゴー」では「風よ吹け~♪」という歌詞がありましたよね
有名な童謡の「あめふり」も「あめあめふれふれ母さんが~♪」から始まってます

わたしは八代亜紀さんの雨の慕情が出てきますがね
そして、嫌な人に対して「もっと困れ!」と呪いをかけることも…笑
要するに、動詞の種類や活用の形だけでは、「意志的か無意志的か」は判断が難しいのです。
文脈によって意味が変わることもあるし、日本人でも厳密に分けるのはとても難しいのです!

この動詞はどっちだろう?わからないー!ってモヤモヤしてた理由はこれか✨
授業では、どう教えればいいの?
私が教え方を伝えるような自信はないのですが…
あくまでも一つの例として聞いていただければうれしいです
初級だけでも「意志動詞」を使わないといけないものが出てきます
- V-ようと思っています
- V-ておきます
- V-てあります
- V-るつもりです
などなど
意志・無意志動詞をたくさん提示して、どっちがどっちでしょう!と区別する練習をするのは大変でしょうきっと…

動詞だけを見て判断するって、日本人でも難しいですよね!
なので、すべてを教えようとするのはやめておきましょう!
授業の「達成目標」を確認して、そのために使う表現を押さえていけばいいと思います。
国際交流基金のいろどり初級2の18課を例に見て見ましょう
ここでは「自分の将来の夢や希望を簡単に話すことができる」というCan-doがあります
(「どんな場面で何ができるか」を、「Can-do(活動の到達目標)」と呼びます)
その目標を達成するために必要、よく使われるような語彙がありますよね。
それを中心におさえていけばいいと思います。

それに、自分が将来やりたいことを考えて話すので、自然と意志動詞が出てくると思います。
いろいろな動詞を一つひとつ意志・無意志に分けていくよりも、授業の目標に関係する語彙を中心に意識すれば十分だと思います。
大事なのは、伝えたいことを伝えられるようになることですからね!
その授業で「使うものだけ」扱えばOK!
日本人でもはっきり区別できないものを、100%教えるのは無理です。
むしろ、日本人だからこそ、考えすぎてドツボにはまります!笑
まずは代表的なものだけを理解しておいて、その日の授業で実際に使う表現だけをさっと確認して扱う。
このぐらいがちょうどいいと思います!
まとめ:文型も文脈も、どっちも大事
意志動詞と無意志動詞について説明しました。
- 意志動詞:自分の意志でコントロールできるもの
- 無意志動詞:自分の意志でコントロールできないもの
- 意志動詞は、意志的にも無意志的にも使える
意志動詞と無意志動詞の違いを見てきましたが、正直なところきっちり二分するのはめちゃくちゃ難しいです!
たとえば、「〜ように」「〜ために」(目的)といった文型では、使える動詞のタイプ(意志か無意志か)が限られますよね。
でも同じ動詞でも、文脈によって「意志があるように」も「ないように」も見えるものもありました。
だからこそ、文法的なルール(文型)だけでなく、文脈(実際の使われ方)とのバランスを見ながら考えるのが大事だと思います。

単語一つ、動詞の形だけできっちり判断しようとするのはやめときましょう
実は私も、このテーマにはずっと悩んでいました。
「意志動詞のはずなのに、無意志っぽいな?」
「無意志動詞だけど、意志があるように感じる…」
…そんなふうに考えれば考えるほど、どんどん迷ってしまいました。
なのでまずは、以下の2つを意識しておけばOKです。
- 典型的な動詞を把握しておく(例:「行く」「食べる」「降る」「ある」など)
- 文脈によって使い方が変わることもあると知っておく
質問が出たら、「食べる」や「雨が降る」のように典型的なものを例に出して伝えたらいいと思います。
「100%正しく分けなきゃ!」と気負いすぎず、その場の目的や文型にあわせて、ゆるやかに考えるのがいいと思います◎
教師も人間!わからないことがあるのは当然です。
私もまだまだ勉強中です!よかったら一緒にがんばりましょう!
この記事を書くのに参考にしたもの
ありがとうございます!
意志動詞と無意志動詞のご説明ありがとうございました。とても分かり易くて納得できました。まだまだ新米教師(年齢だけはベテラン風なのですが、教師歴はまだ浅いのです。)の域を出ておらず、何から何まで学ばなくてはならない状況です。人生経験が長い分でなんとかカバーできることも多いのですが、意志・無意志動詞のような文法項目はそういうわけには行きません。チャソ先生のご説明でだいぶ腑に落ちるところがありました。心から感謝します。今後ともよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます!すごくうれしいです(´;ω;`)✨
書きながら迷う部分も多くて、私自身まだまだ未熟で勉強中なので、頑張ろうと思います!
調べれば調べるほどわからないことが増えていきますが、なんとかやっていこうと思います。
こちらこそ、よろしくお願いいたします^^