「帰らさせていただきます」は間違い?使役形の「さ入れ言葉」を整理しよう

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「帰らさせていただきます」は間違い?使役形の「さ入れ言葉」を整理しよう
お悩みちゃん
お悩みちゃん

最近、職場で「そろそろ帰らさせていただきます」って言い方を聞くんですが…
これって『さ入れ言葉』ですよね?
『さ入れ言葉』についてちゃんと理解して、説明できるようになりたいです!

オンライン日本語教師のちゃそです!

日本語の使い方でよく話題になる「さ入れ言葉」について、説明できますか?

「そろそろ帰らさせていただきます」
「では一曲歌わさせていただきます」

これはどちらも「さ入れ言葉」になっています。

お悩みくん
お悩みくん

どっちも使っちゃったことあるかも…

ちゃそ
ちゃそ

私も20代のころは、正直よくわかっていませんでした!


この記事では

  • 「さ入れ言葉」とは?
  • なぜ「さ入れ言葉」が起こるのか?

について説明します。


生徒さんに質問されても慌てないように、一緒に準備しておきましょう♪

(今回は使役形のみ扱います。「~な(さ)そうだ」については触れていません。すみません…)



「さ入れ言葉」とは?

「さ入れ言葉」とは、1グループ動詞の使役形に「さ」を追加してしまう現象です。

例えばこんな感じです↓

「帰らせる」→「帰らせる」
「飲ませる」→「飲ませる」
「歌わせる」→「歌わせる」

お悩みちゃん
お悩みちゃん

私、友だちに「ちょっとそのジュース飲まさして~」って言っちゃうかも!

ちゃそ
ちゃそ

私もカラオケで「歌わさせていだたきます!キリッ」って言ったことあるかも…

動詞のグループ分けについてはこちら↓



なぜ「さ入れ言葉」が起こるのか?

原因は2つあるようです。

  1.  2・3グループの使役形「~させる」に引っ張られる
  2. 「~させていただく」の影響

詳しく見てみましょう


①2、3グループの使役形「~させる」に引っ張られる

2グループ動詞「食べる」の使役形は「食べさせる

3グループ動詞「来る」の使役形は「こさせる」で、どちらも「~させる」で終わっています。

なので、1グループも「~させる」にしてしまうのではないか、ということです。


ここで、動詞の使役形(通常形)の作り方を確認しましょう

1グループ動詞

書く(kaku) → 書かせる(kaka seru

帰る(kaeru)→ 帰らせる(kaera seru


「-u」を 「-aせる」にします  

2グループ動詞

食べ→ 食べさせる

「~る」を「~させる」にします

3グループ動詞

する→ させる

来る→ こさせる

このように、2グループ動詞も3グループ動詞も「~させる」の形になります。

それにひっぱられて、1グループも「~させる」にしてしまうようです

お悩みちゃん
お悩みちゃん

うん、その気持ちわかるわ~!


②「~させていただく」の影響

最近、よく耳にする「~させていただく」。

例えば、こんな言い回しを聞いたことがありませんか?


「新商品を販売させていただきます」
「私は〇〇大学を卒業させていただきました」

お悩みちゃん
お悩みちゃん

「させていただく」という表現、何だかへりくだった感じがして丁寧に聞こえるから、つい使いたくなっちゃうんだよなあ~


実は、この「~させていただく」の使いすぎが「さ入れ言葉」へと影響を与えていると言われています。


文化庁の敬語の指針によると、「~させていただく」の正しい使い方は以下の通りです。

「 (お・ご)……(さ)せて 】 いただく」といった敬語の形式は,基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。

参照:文化庁|敬語の指針


つまり

  • 相手に許可をもらって行うこと
  • そしてその結果、恩恵を受ける場合に使う

表現です。



じゃあ、「新商品を販売させていただきます」という言い回しはどうでしょうか?

確かに何らかの許可を得ているのかもしれませんが…

この場合、「販売いたします」の方が自然で、特に「させていただく」を使う必要はないように感じます。



自己紹介の時の「私は〇〇大学を卒業させていただきました」はどうでしょう?

お悩みちゃん
お悩みちゃん

これも「誰かに許可を取って卒業したわけではないので、少しやりすぎな感じ」がするかな



ただ、これは単純に使い方を知らないから悪いと言えるでしょうか?

これは個人の意見ですが

日本人が、相手の気分を悪くさせないために丁寧に話そうとした結果だと思います。

結果として「さ入れ」を助長してしまいましたが…。

でもこれは、思いやりから発生した誤用のように感じました!

ちゃそ
ちゃそ

そう考えると、言葉の変化って深いものなんですね!


「さ入れ言葉」は今は間違い扱い

前回「ら抜き言葉」の記事で、話し言葉では一般的に使われていて許容される場面も多いと話しました。


残念ながら「さ入れ」に関しては、今は間違いという扱いです。

ちゃそ
ちゃそ

授業中にうっかり使ってしまったり、生徒さんに教えたりする時には注意が必要です

ら抜きのようにこの先、許容範囲が広がっていくかもしれませんね!


「さ入れ」〇×チェック問題

おまけです!よかったらやってみてください

①では、歌わさせていただきます。

②もらったチョコを息子に食べさせました。

③そのジュース、ちょっと飲まさせて。

④私も参加させてください。

⑤疲れてるので、ちょっとここで寝させてもらうね。

①✖ 歌わせて ②〇 ③✖ 飲ませて ④〇 ⑤〇



まとめ:「さ入れ」は1グループ動詞の使役形に発生する

「さ入れ言葉」とは、1グループ動詞の使役形に「さ」を余分に入れてしまうことでした。

書か”さ”せる 歌わ”さ”せる のようにです。


さ入れが起こる原因として

  • 2グループと3グループ動詞の使役形に引っ張られた
  • 敬語の「~させていただく」の影響

が考えられました。


今のところ、「さ入れ言葉」は間違いとされています。

ですが、言葉は時代とともに変化するもの。

将来的には、使役形の「さ入れ」が許容される場面が増えることもあるかもしれませんね!


それまでは、生徒さんに質問されたときに慌てないように、理解しておきたいですね!




記事を書くのに使ったもの、参考にしたもの







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