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オンライン日本語教師のちゃそです🏐
『ハイキュー!!』のセリフから日本語の表現を学ぶシリーズです。
日本語の文型や語彙を調べるのって、けっこう大変ですよね。
「意味がいくつもある」「場面によって使い方が違う」
全てを理解しようと思うと、かえって混乱してしまうことも…(´；ω；`)
でも、漫画やアニメなら、その言葉がどんな場面で・どんな気持ちで使われているのかがわかりやすいんです！
キャラクターの性格や関係性、状況設定がしっかり描かれているからだね！
今回は、月島がちょっと皮肉っぽく放った一言から。
「名詞＋（助詞）すら」の使い方を一緒に見てみましょう！
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ハイキューで学ぶ：「～ですら」
引用：『ハイキュー!!』第7巻 第59話”真っ向コミュニケーション”（古舘春一／集英社）
月島：「日向ですら一応何か考えてるから普通の速攻も使えるようになったんデショ」
日向：「“ですら”って何だ！」
宿敵、青葉城西とのインターハイ予選の試合中。
このセリフは、月島が影山に「毎回同じトスを上げてほしい」と伝える場面で登場します。
影山は決まりやすいと思った方にスパイクを打たせるために、トスを変えていました。
でも、月島は「それが逆に打ちづらい」と感じていました。
それは、影山が自分の考えだけでスパイカーをコントロールしているとも言えます。
月島はこう言います
- 「考えてるのは君だけじゃない」
- 「みんなそれぞれ、守備や試合の流れを考えてる」
- 「日向ですら一応何か考えてる」
つまり、ふだん感覚や本能だけで動いていそうな日向でも考えている。
日向が考えているんだから、他の選手たちもそれぞれ考えてるのは当然。
だから「影山の考えを押し付けないで、自分たちが考えた攻撃をさせて」と伝えているんですね。
日向も皮肉を敏感に察知して、「“ですら”ってなんだーー!!」と反応しています笑
文型「N（＋助詞）すら」ってどんな意味？
「すら」は、「ある一つの極端な例をあげて、それもそうなのだから、他も当然そうだ」ということを言いたいときに使われます。
日向も一応何か考えてる
これだと、日向も”他の人と同じで何か考えている”という意味になりまが、
日向ですら一応何か考えてる
「ですら」にすると、日向＝考えない人代表という極端な例をあげて、
そんな人でも考えてるんだから、他の人も当然考えている、という意味になります。
接続は、「名詞+すら」や「名詞＋助詞＋すら」の形で使われます。
前の言葉を取り立てる（特別に取り上げる）、『取り立て助詞』です。
「～さえ」と意味はほぼ同じで、置き換え可能なことも多いです。
ただし、「すら」のほうがやや文語的・かたい印象があると言われています。
とはいえ、会話でもよく使われるよね！
そして、例示されるものについて軽く見る気持ちが強くなることがあります。
だから、驚きやあきれた気持ちがより強く表れるのが特徴です。
「こんな問題すら解けないのか！」とか、叱られる時に使われるイメージもあるね！
例文とその解説
- 忙しくて、水すら飲めなかった。
- → 水は飲食の中でも最低限のものですが、その水も飲めなかったほど忙しかったということです
- 子どもですら理解できる内容だ。
- → 一般的に「子ども」は理解が難しい存在の代表とされます。
そこをあえて例に出すことで、「誰でもできる」という強調や驚きを表します
- こんな問題すら解けないのか！
- →「こんな問題」は話し手にとってかなり簡単な問題。
驚きやあきれた気持ちが込められています
「～ですら」に見えるキャラ同士の関係性
このセリフ「日向ですら…」を、ただの文法的な取り立てだけで終わらせません！笑
クールで皮肉屋な月島らしさと、周りとの関係性が見えてきます
日向に対しての皮肉
月島は、ふだんあまり深く考えず本能で動いている日向を、「考えていない人の代表例」として引き合いに出しています。
そのうえで、「日向ですら〜」とわざわざ口に出しています。
本人に向けた軽い見下しや、からかいのニュアンスが感じられます！
それを受けて、日向も「“ですら”ってなんだ！」と反応しているわけですね
影山に対しての指摘とあきれ
そしてこのセリフは、影山へのメッセージでもあります。
「そんな日向でも考えているのに、君は“自分だけが考えてる”と思って行動してるの？」と
「”考えてる”のは君だけじゃない」と伝えています。
かつての“コート上の王様”と呼ばれていた影山。
自分中心で点を決めさせようとする姿勢に対する、月島の冷静な指摘とあきれが込められているようです。
「日向をバカにしつつも、その例を使って影山に釘をさしている」という、 月島らしい冷静さと棘のある観察眼がよく表れたセリフなんだね！
さすがツッキー！
まとめ：言葉から見えるキャラの気持ちと関係性
今回のシーンで使われている「～ですら」について説明しました。
「～ですら」/「名詞+（助詞）すら」は
- 「極端な例を取り上げて、他も当然そうだ」と言いたいときに使う
- 「さえ」とほぼ同じ意味だが、文語的でやや強調されたニュアンスに
- 驚き・あきれ・皮肉のニュアンスが強く出るので、使い方に注意！
今回のように「すら」は使う相手や場面、関係性によってトゲや皮肉を含んだ表現にもなるということがわかりました！
日向に対する皮肉も含まれた、月島らしい言い方でしたね！
文型は、 それを誰が・どんな気持ちで・どんな場面で使っているかを見ると、 より深く、その言葉のニュアンスが見えてきます。
こんなふうに、アニメのセリフから日本語を読み解くのも楽しいですよね！
こういった言葉づかいからも、キャラ同士の関係性がみえてきておもしろい！
最後まで読んでくれてありがとうございます！
この記事が楽しく日本語を学ぶきっかけになればうれしいです。
感想やお気に入りのシーンがあれば、ぜひコメント欄で教えてくださいね！
この記事を書くために使ったもの紹介
引用元について
本記事で使用している画像・セリフは著作権法第32条に基づき、教育・批評を目的として引用しています。
- 作品名：『ハイキュー!!』
- 著者：古舘春一
- 出版社：集英社
- 引用巻数・話数：第7巻 第59話”真っ向コミュニケーション”