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「未成年はタバコを吸ってはいけない」みたいに「~てはいけない」は禁止を表しますよね?
でもそれだけじゃない気がするんです。詳しく知りたいです!
オンライン日本語教師のちゃそです!
初級の教科書では、「~てはいけない」はルールやマナーについて話す場面で導入されますよね。
例えばこういう文です。
- ここで写真を撮ってはいけません。
- 電車の中で電話をかけてはいけません。

『いろどり』でも、「禁止したり、してはいけないことを伝える言い方です」と説明されてるよね
そのため、学習者だけでなく教師も、「~てはいけない=禁止の表現」と理解していることが多いのではないでしょうか?

私もその一人でした!
ところが先日、『ハイキュー!!』を読んでいて、次のセリフに出会いました。
引用:『ハイキュー!!』第11巻 第96話 黒のチーム(古舘春一/集英社)
今君達はサーブもコンビネーションも他のチームに適わない
後から始めたのだから当然ですね
でも止めてはいけません
「自分の力はこのくらい」と思ってはいけません
ー“色”は混ぜると濁って汚くなって行きますよね
でも混ざり合った最後は
どの色にも負けない黒です“烏”らしく黒のチームになって下さい

優しくて生徒に対してまっすぐ真剣に向き合ってくれる、武田先生のセリフだね!
このセリフを読んだとき、私は「~てはいけない」を単純に「禁止」と考えるだけでは説明できないように感じました。
そこで今回は、「~てはいけない」とはどのような表現なのか、考えてみたいと思います。
初級:ルールやマナーについて話す
初級の教科書では、「~てはいけない」はルールやマナーを表す文型として扱われることが多いですよね。
例えばこのような文です。

- ここで写真を撮ってはいけません。
- 館内ではたばこを吸ってはいけません。
- 電車の中で電話をかけてはいけません。

ルールやマナーについて、禁止されていることを話すイメージだよね?
でも、『禁止』だけでは説明しにくい例もあります。
「禁止」だけでは説明できない例
もう一度、『ハイキュー!!』のセリフを見てみましょう。
引用:『ハイキュー!!』第11巻 第96話 黒のチーム(古舘春一/集英社)
今君達はサーブもコンビネーションも他のチームに適わない
後から始めたのだから当然ですね
でも止めてはいけません
「自分の力はこのくらい」と思ってはいけません
このセリフは、烏野高校バレー部の監督である武田先生が、選手たちに向かって話している場面です。
ここで武田先生は、部員たちに、「何かルールで禁止されていること」を話しているわけではありませんよね?
そして、「行動を禁止している」と解釈するのも、少し違うように感じます。

むしろ、「自分で限界を決めつけるのはよくない」というメッセージを伝えているのではないでしょうか…?
では、「~てはいけない」の本当の意味は何なのでしょうか?
「~てはいけない」の本当の意味
『初級を教える人のために 日本語文法ハンドブック』では、「~てはいけない」は、“ある行為を容認できないと述べることで、禁止の意味を表す”と説明されています。
また、『現代日本語文法④』でも、「~てはいけない」の基本的な意味は、“その事態の実現が許容できないものであることを表す”ことだと述べられています。
つまり、「~てはいけない」の本質は
その行為は認められない。
その行為は望ましくない。
という話し手の評価を表すことと捉えると理解しやすいです。
そして、相手が今していることや、これからしようとしていることについてこの評価を伝えると
「あなたのその行為は認められない!望ましくない!」
という意味になります。
その結果、「~てはいけない」は禁止の意味になります。

その行動はダメ、認められない!と言ってるんだね
例を見てみましょう

学生が廊下を走ったときや、走ろうとしているときに、先生に
「廊下を走ってはいけません!」
と注意されました。
これは、学生の「廊下を走る」行為を「認められない」と評価することで、結果として禁止を表しています。

「走るのをやめろ!」って直接禁止するんじゃなくて、「ここで走るのは認められない!(だからやめなさい!)」って言ってる感じかな
ただし、このような『相手の行動について使う』場合は、相手が誰でも使えるわけではありません。
- 親から子ども
- 教師から学生
- 医者から患者
などのように、相手を指導・監督・保護する関係で使われることが多いそうです。

誰にでも使えるわけじゃないんだね
※ただし、ルールや規則として禁止されていることを伝える場合は、相手との関係に関係なく使われることもあります。
なぜ「その行為」は認められないのか
例えば「行ってはいけない」という文。
話し手は「行く」という行為をすることを「認められない」と評価しています。
では、どうやって話し手は「認められない」と評価するのでしょうか?
その背景には
- ルール、規則
- 法律
- マナー
- 道徳
- 常識
- 健康や安全に関する一般的な知識
など、社会の中で共有されている価値観や基準があることが多いようです。
例えば
未成年はたばこを吸ってはいけない。
という文の背景には法律や社会的なルールがありますよね。

他にも
暗いところで本を読んではいけない。
という文には、法律やルールではありませんが
暗いところで本を読むと目が悪くなる。目によくない。
という一般的な知識から「よくない」と評価しています。

このように考えると、「~てはいけない」は単に話し手の好き嫌いで使用する表現ではないことがわかります。

個人的な感情で話してるんじゃなくて、正当な理由があるように感じるね
もちろん、話し手個人の考えや気持ちが含まれることもあります。
ですが、多くの場合、その背景には何らかの社会的・一般的な価値観があると言えそうです。
ハイキューのセリフの意図
ここで、最後にもう一度ハイキューのセリフを見てみます。
引用:『ハイキュー!!』第11巻 第96話 黒のチーム(古舘春一/集英社)
でも止めてはいけません
「自分の力はこのくらい」と思ってはいけません
「~てはいけない」は、親から子ども、教師から学生のように、相手を指導・監督・保護する関係で使われることが多いと言いました。

武田先生も、監督として選手を指導する立場にありますね!
そして、このセリフは武田先生の意見ではありますが、その背景には
「自分で限界を決めつけるのはよくない」
という、教育やスポーツの場で成長するために共有されている価値観があると考えられます。

挑戦する人を応援する時によく使われるよね!
なので、このセリフは単に相手の行動を禁止する目的の話ではなくて
「そのような行為は認められない」
「そのような行為は望ましくない」
という、今の状況で選手たちが陥りそうな考え方や姿勢について、評価を表しているのです。

選手たちが陥りそうな状況を阻止して、それは良くないよ~って伝えてる感じか
それが結果的に、選手たちを応援したり励ましたりするように機能しているのです。

行動を禁止することより、先へ進むために励ますために言っていますよね!
「禁止」の一言だけでは、うまく説明できなかった「~てはいけない」。
「認められない」「望ましくない」という評価がベースであることを意識すると、理解しやすくなる気がします。

これが「~てはいけない」の本質だね✨
おまけ:なぜ武田先生は「~てはいけない」を使ったのか
ここからは私の考えなので、軽く読んでください!
『ハイキュー!!』には、同じような場面で禁止の『~な』の方をよく使う人物もいます。
例えば、若くて熱気のある烏養コーチです。
禁止『~な』は、聞き手に対する直接的な禁止を表す形式です
引用:『ハイキュー!!』9巻 第74話 直射日光(古舘春一/集英社)
青城に負けた悔しさも苦さも忘れるな

武田先生に比べると、言動がちょっと粗っぽいキャラクターだよね!

でもめちゃくちゃ良いコーチだよね🏐✨
一方で、武田先生は『~てはいけない』を使っています。
『~てはいけない』の基本は、その行為を「認められない」「望ましくない」と評価する形ですよね。
武田先生は、相手の行動を直接コントロールするのではなく、相手に考えさせて行動してもらうような話し方をする人物として描かれています。
そのため、『思うな』のように直接的な禁止ではなく、
ここでやめると成長が止まる
「自分の力はこのくらい」と思うと成長できない
という背景にある想いや考え方を思い出させるように「思ってはいけません」という表現を選んだのかもしれません。
武田先生の単なる個人的な意見ではなくて
- 教育者としての立場から
- その行動は望ましくないよ
と伝える形で選手を励ましているんでと思います。

ある意味、武田先生らしい表現といえそうですね✨

こんな先生がいたら学生もきっと成長できるよね

ハイキューは選手たちはもちろん、大人たちが本当に良い!
まとめ
「~てはいけない」の本質についてみてきました。
初級では、「~てはいけない」はルールやマナーを表す表現として導入されることが多いです。
そのため、「禁止」の文型だと理解しやすいです。
ですが調べていくと、「~てはいけない」の本質は
『その行為を許容できない、認められないと評価する』
ことだとわかりました。
「禁止」は、その評価を聞き手の行為に向けたときに生じる意味の一つです。
この点を覚えておくと、教科書の例だけでなくマンガや実際の会話に出てくるさまざまな「~てはいけない」も理解しやすくなるのでは、と思います♪
とても面白い作品であり、「~てはいけない」について考える機会をくれたハイキュー!!最高です!
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私もまだまだ勉強中です!よかったら一緒にがんばりましょう♪
最後まで読んでくれてありがとうございます!
この記事を書くのに参考にしたもの
引用元について
本記事で使用している画像・セリフは著作権法第32条に基づき、教育・批評を目的として引用しています。
- 作品名:『ハイキュー!!』
- 著者:古舘春一
- 出版社:集英社
- 引用巻数・話数:第9巻 第74話 直射日光|第11巻 第96話 黒のチーム


