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「うれしい」と「たのしい」って、どちらもいい感情・気分を表す言葉だけど、何が違うんでしょうか?
オンライン日本語教師のちゃそです!
先日、N1対策の授業を受けている生徒さんとこんなやりとりをしました。
私:「N1のクラスはどうですか?難しいですか?」
学習者:「ちょっと大変です。でもうれしいです。」
この「うれしいです」を聞いて、「ん?」と思いました。
正しくは「楽しいです」よね。
でも、その場ですぐ違いを説明できませんでした。
どちらもポジティブな感情を表す言葉なのに、なぜ「うれしい」ではダメなのか。
今回はこの2つの違いを整理してみます。
「うれしい」と「楽しい」について
Xで、「日本経済新聞・校閲グループの公式アカウント」で気になるポストがありました!
三省堂の類語ニュアンス辞典では「うれしい」と「楽しい」の違いについて、「楽しい」は「自分の行動や思考をとおして体験している気持ちについて言えるだけ」なのに対し、「うれしい」は「自身の行動や体験でなく、好ましい情報が入ったというだけでも起こる感情」と説明しています。 pic.twitter.com/xNGUuAZaqt
— 日経 校閲 (@nikkei_kotoba) October 30, 2022
三省堂国語辞典のところに、こうあります。
「うれしい」は、あるいいできごとがあったときに使う。「楽しい」は、自分もそれに参加して、心が明るくなるときに使う。ひな祭りの日が来たことはうれしく、家族でひな祭りを祝うのは楽しい。
同じひな祭りを題材に、2つの違いが一文で示されています。
- ひな祭りの日が来た(=いいできごとが起きた)→ うれしい
- 家族でひな祭りを祝う(=自分が参加している)→ 楽しい

出来事に対して反応する「うれしい」

自分が体験・経験して感じる「たのしい」
これをふまえて、もう少し掘りさげてみます
「うれしい」とは
→いい出来事に対して反応する感情
自分にいいことが起きた瞬間の反応です。
自分が何かをしていなくても、ニュースを聞いただけ、知らせを受けただけでも使えます。

いいことが起きて、「やったー!」「ラッキー!」という反応かな?
例文①
A:合格おめでとう!
B:ありがとうございます。合格できて、うれしいです!
(←合格といういい出来事が起きた)
例文②
A:侍ジャパンが優勝しましたね!
B:はい、本当にうれしいです!
(←自分は試合していなくても使える)
これらは「楽しい」には置き換わりません。
「楽しい」とは
→何かをしている中での感情。物事の性質にも使える。
「うれしい」が瞬間的に来るのに対して、「たのしい」はその時間の中でじわじわ生まれてくる感情です。
また「たのしい」は「楽しいお祭り」「楽しい授業」のように、物事の性質・属性を表すこともできます。
例文①
A:週末は何をしましたか?
B:友達とカラオケに行って、みんなで大合唱しました。すごく楽しかったです!
例文②
A:日本語のクラスはどうですか?
B:大変ですが、楽しいです!
これらも「うれしい」にすると、違和感を覚えますね。
ハイキュー!! 孤爪研磨の「たーのしー」
「うれしい」がパッと瞬間的に来るのに対して、「たのしい」はその時間の中でじわじわ生まれてくる感情だといいました。
バレーボール漫画『ハイキュー!!』に、激しい試合の最中に「たーのしー」とつぶやくキャラクター(孤爪)が登場します。
苦しくてしんどい、でも「終わらないでほしい」。
これはまさに「楽しい」の本質で、その時間・体験の中にいるからこそ生まれる感情です。

この場面で「うれしい」には置き換わりません
引用:『ハイキュー!!』第36巻 第322話 おれの勝ち(古舘春一/集英社)
引用:『ハイキュー!!』第37巻 第323話 ラストバトル(古舘春一/集英社)

そして試合が終わった後、試合中を振り返って「楽しかった」と言うんだろうな

因縁の対決「ゴミ捨て場の決戦」ができたことに対しては「うれしかった」だね✨
なぜ「(N1のクラスは)うれしいです」がダメなのか
最初の話に戻ります。
私:「N1のクラスはどうですか?難しいですか?」
学習者:「ちょっと大変です。でもうれしいです(?)。」
整理するとシンプルにこう言えます。
- うれしい→(いい)出来事に対して反応する感情
- 楽しい →何かをしている中での感情。また、物事の性質にも使える。
N1の「クラスを受ける」は自分がやっていることです。
クラスを受けている中での感情は「楽しい」です。
「うれしい」は出来事への反応なので、ここでは使えません。
もう少し比べてみます。
✅日本語の授業を受けているんですが、先生が優しくて、うれしいです。
→これは、「先生が優しい」という、自分に起きたいい出来事への反応なので「うれしい」です。
✅ 日本語の授業を受けているんですが、楽しいです。
→授業を受けるという体験の中にいるときの感情なので「楽しい」です。
もう一つ見てみましょう。
①みんなと一緒に勉強できて、うれしかったです。
②みんなと一緒に勉強できて、楽しかったです。
この2文はどちらも正しいですが、注目する場所が違っています。
①は「一緒に勉強できた」という出来事への反応
②は「みんなと一緒に勉強していた」という、その時間の中にいる感情です。

うれしいは「起きた(いい)こと」への反応で、楽しいは「起きている」ことに対する感情です
まとめ
試合が楽しい!試合に勝ってうれしい!
- 「うれしい」→(いい)出来事が起きたことに対して反応する感情。
- 「たのしい」→ 何かをしている中での感情。「もっと続いてほしい」という感じ。
楽しいもうれしいもポジティブな感情です。
何に対して反応しているのか、何に対して感じているのかが違います。
もし相手の母語で置き換えられる言葉があれば、それで伝えるのが一番早いと思います!
ですが、違いを知っておけば説明がしやすくなると思います。
最後はドリカムの「うれしい!たのしい!大好き!」で終わります

あなたに出会えてうれしい、一緒に過ごす時間が楽しい!
最後まで読んでくれてありがとうございます!
この記事を書くために使ったもの紹介(ありがとうございます✨)


