「似合う」と「合う」の違い|誤用から考える使い分け

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「似合う」と「合う」の違い|誤用から考える使い分け

オンライン日本語教師のちゃそです!

先日、オンライン授業中に学習者がこう話してくれました。

大学時代は物理を専攻していたんですが、この専攻は私に似合っていなかったので、大学院ではマネジメントを勉強しました。

どこかおかしいと感じますか?

「似合っていなかった」ではなく、「合っていなかった」の方がいいですよね。

ちゃそ
ちゃそ

でも、すぐに「何が間違ってるのか」が説明できませんでした・・・

どちらも「ちょうどいい・ぴったりだ」という意味を持つので、まちがえやすい2つの言葉です。

今回はこの違いを説明します。


結論から言うと、「似合う」は見た目・外見の話、「合う」はそれより範囲が広く内面・性質の話にも使えます。

詳しく見てみましょう



辞書で意味を確認

例解新国語辞典にはこのように書いてあります。

合う

「合う」
①ふたつ以上のものが、いっしょになる。用例:とけ合う、まざり合う。
②ぴったりと一致する。用例:呼吸が合う。足によく合わない靴。
③正しいものと同じになる。用例:答えが合う。時計が合う。
④よくつりあう。用例:このケーキは紅茶とよく合う。

引用:例解新国語辞典


似合う

「似合う」
いくつかのものが、いかにもふさわしい感じでぴったり合う。

引用:例解新国語辞典

「合う」には複数の意味があるのに対して、「似合う」の意味はひとつだけです。

ちゃそ
ちゃそ

ここから「合う」の方が使える範囲が広いことがわかりますね!



「似合う」と「合う」の違いは?

では、具体的に何が違うのでしょうか?

ポイントは

  • 「似合う」は見た目・外見の話。
  • 「合う」は見た目にも内面・性質にも使える。


「似合う」には「似」という漢字が入っています。

「似る」とは「2つのものに共通する部分があって、同じようだと判断する」こと。

だから「似合う」は外から見た印象・見た目の話になります。



また、実際の見た目だけでなく、頭の中のイメージの話にも使えます。

例えば「諦めるのは私には似合わない」は、諦めている自分の姿を頭の中に浮かべて、それが違和感があると言っています。




一方「合う」は見た目だけでなく、性質・適性・内容など内面の話にも使えます。
(例:趣味が合う・この仕事は私に合っている)

また、「合う」には基準となるものがあって、そこに一致するというニュアンスがあります。

  • 答えが合う→正解という基準に一致する
  • 服が体に合う→体のサイズという基準に一致する
  • 趣味が合う→相手の趣味という基準に一致する



例文で確認

まずこの文を見てください。

「お二人、意見はちっとも合わないけど、こう見ると似合ってる感じよ。」

引用:類義語使い分け辞典p10

  • 「意見が合わない」→ 2人の意見(内面・性質)が一致していない
  • 似合ってる」→ 2人を外から見たとき、違和感がなくて自然にまとまって見える

この1文の中で「合う」と「似合う」が対比されています。



「似合う」の例文(見た目・外見・頭の中のイメージの話)

引用:『ハイキュー!!』第2巻 第9話 コンビ誕生。(古舘春一/集英社)

2つのものを見たときに違和感がなくて、自然にまとまって見えるときに使います。

  • その服、似合うね。
  • 和服の似合う人ですね。
  • 大きな体に似合わず、繊細な神経の持ち主だ。(外見から受けるイメージと内面が一致していない)
お悩みちゃん
お悩みちゃん

外見や見た目から判断して「似合う」を使ってるね


「合う」の例文(見た目にも内面にも使える)

引用:『ハイキュー!!』第9巻 第75話 ”村人B”(古舘春一/集英社)

2つ(以上)のものが、ある点で一致したり、基準に近づくときに使います。

  • その靴、そのズボンに合うね。
  • このケーキは紅茶とよく合う
  • 2人は趣味が合わない
  • この仕事は私に合っている
  • 答えが合う
お悩みくん
お悩みくん

意見とか適性とか、見た目ではわかりにくいものにも使えるんだね

チェックポイント

「合う」には「基準となるものがあって、そこに一致する」というニュアンスがあります。

答えが合う→正解という基準に一致する 服が体に合う→体のサイズという基準に一致する 趣味が合う→相手の趣味という基準に一致する



一方「似合う」は基準というより、外から見て自然にまとまって見えるという印象の話です。


なぜ「専攻は私に似合わない」はおかしいのか

もう一度、最初の生徒さんの言葉を見てみましょう。

この専攻は私に似合っていなかった

「専攻が合う・合わない」は適性や能力の話です。

見た目でわかることではありません。


今回の「この専攻は私に似合っていなかった」は、専攻が自分に合っていたかどうか、

つまり適性や能力の話をしています。

これは見た目や頭の中のイメージで判断できることではないので、「似合う」は使いにくいです。



ただ、「●●さんは文学部か。似合ってるね」のように、その人の外見を見て専攻のイメージと合っていると感じるときは「似合う」が使えると思います。



見た目の話でも「似合う」か「合う」か迷ったら?

見た目の話のときは「似合う」も「合う」も使える場合がありますよね。

どちらが正しいとはっきり言えないこともあると思います。


言葉の使い方は場合によってゆらぐことがあります。

迷ったときはこう考えてみるといいかなと思います。

その人・そのものを見て判断している?→「似合う」
例:その服、似合うね。(相手の服装などを見て判断)
複数のものの組み合わせ・バランスを見ている?→「合う」
例:その靴、そのズボンに合うね。(靴とズボンの組み合わせを判断)
ちゃそ
ちゃそ

「似合う」は外から見て自然にまとまって見えるという話ですね

お悩みくん
お悩みくん

「合う」には「基準となるものがあって、そこに一致する」というニュアンスがあるね



まとめ

合うと似合うの違いについて説明しました。

  • 「合う」は意味の範囲が広く、見た目にも内面にも使える
  • 「合う」には基準となるものがあって、そこに一致するというニュアンスがある
  • 「似合う」は主に見た目・外見・頭の中のイメージの話に使われる

授業の中で「似合う」はよく服装などの話に使われるので、まずは見た目について使うと覚えると良さそうですね!


最後まで読んでくれてありがとうございます!

この記事を書くために使ったもの紹介

引用元について

本記事で使用している画像・セリフは著作権法第32条に基づき、教育・批評を目的として引用しています。

  • 作品名:『ハイキュー!!』
  • 著者:古舘春一
  • 出版社:集英社
  • 引用巻数・話数:第2巻 第9話 コンビ誕生。
  • 引用巻数・話数:第9巻 第75話 ”村人B”

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