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持ち主の受身ってなんですか?「私は足を踏まれた」と「私の足が踏まれた」って何が違うんでしょう?気になります!
オンライン日本語教師のちゃそです!
受身の種類を整理していくと、「直接受身」「間接受身」ときて、次に出てくるのが「持ち主の受身」です。
「私は足を踏まれた」と「私の足が踏まれた」、どちらも意味は通じそうですよね。
でも日本語としては使い方に違いがあります。

ふつうは「私は足を踏まれた」っていうけど、「私の足が~」でも文法的にはおかしくない気がする…
この記事では、持ち主の受身とは何か、どんな特徴があるかを整理していきます。
※例文には「私は」のように実際の会話では省略されるのが自然なものも、わかりやすいようにそのまま入れています。
受身の種類(直接・間接・持ち主)の概要はこちらにまとめています↓
持ち主の受身とは
持ち主の受身とは、体の一部や持ち物、関係者を「〜される」受身です。
その持ち主が主語になる受身です。

例を見てみましょう。
・電車でだれかが私の足を踏んだ。→(私は)電車で足を踏まれた。
・スリが私の財布を盗んだ。→(私は)スリに財布を盗まれた。
「踏まれた」のは足、「盗まれた」のは財布です。
でも主語は「私」ですね!

「足」や「財布」そのものではなく、その持ち主を主語にして語るから「持ち主の受身」です!
「持ち主」の範囲
持ち主の受身で「〜される」のは、主語と切り離せない関係のものです。
主に次の3つです。
| 種類 | 例文 |
| 体の一部 | (私は)頭をたたかれた/髪を引っぱられた |
| 持ち物 | (私は)財布を盗まれた/かばんを汚された |
| 関係者 | (私は)息子をほめられた/娘を傷つけられた |

家族など自分に近い人も「持ち主」に入るんだね
「私は足を踏まれた」と「私の足が踏まれた」の違い

「私は足を踏まれた」と「私の足が踏まれた」って同じ意味だと思うんですが・・・
日本語では、体の一部が「される」とき、その持ち主を主語・主題にするのが自然です。
「私の足が踏まれた」のように体の一部を主語にすると不自然になります。
✅ 私は電車で足を踏まれた。(持ち主の受身)
△ 電車で私の足が踏まれた。(不自然)
では、なぜ「私」を主語にするのでしょうか?
日本語誤用辞典にはこのように説明されていました。
- 直接踏まれたのは「足」
- でも実際に痛い思いをした・影響を受けたのは「私」
- だから影響を受けた人間を主語・主題に立てる

「私の足が踏まれた」って言いたくなるけど、日本語では「私は足を踏まれた」が自然なんだね
チェックポイント
●(私は)足を 踏まれた
迷惑を受けた人を主語・主題に立てて、体の一部や持ち物は「を」で表す
直接受身・間接受身との関係
持ち主の受身は、直接受身と間接受身の中間的な存在です。
- 直接受身と共通:描いている出来事(状況)が同じ
- 間接受身と共通:能動文と比べて項が1つ増える
なんだか難しそうに書きましたが、一緒に見てみましょう!
直接受身との共通点
先生が学生を叱った。(能動文)
学生が先生に叱られた。(直接受身)
直接受身は能動文と同じ出来事を、別の立場から語ります。

持ち主の受身も同じです。
佐藤が田中の肩をたたいた。(能動文)
田中が佐藤に肩をたたかれた。(持ち主の受身)

描いている出来事(状況)は同じです。
佐藤さんがしたことなのか、田中さんがされたことなのか、視点・立場が変わっています。

同じ出来事を別の視点から話しているんだね!
直接受身について詳しくはこちら↓
間接受身との共通点
隣の人が 騒いだ。(能動文)
私は 隣の人に 騒がれた。(間接受身)
能動文にいなかった「私」がいませんでしたが、間接受身には「私」が主語として登場します。

持ち主の受身も同じです。
佐藤が 田中の肩を たたいた。(能動文)
田中が 佐藤に 肩を たたかれた。(持ち主の受身)

能動文では「田中」さんは「田中の肩」の持ち主として隠れていました.
持ち主の受身では、主語として出てきます。

出来事は直接受身と同じ、でも新しい主語が増えるのは間接受身と同じなんだね!

だから2つの中間なんだね
間接受身について、詳しくはこちら↓
本によって分類が違う
持ち主の受身は、文法書によって扱いが異なります。
私の持っているものになりますが、整理してみます
| 文法書 | 分類 |
| 一歩進んだ日本語文法の教え方2 | 直接受身のタイプ2 |
| 現代日本語文法② | 直接受身と間接受身の中間 |
| 赤本(完全攻略ガイド) | 独立した3種類目 |
| 初級を教える人のために日本語文法ハンドブック | 間接受身の一種 |
『一歩進んだ日本語文法の教え方2』 直接受身を2つのタイプに分けています。
- タイプ1:Yは(Xに)V-(ら)れる型(例:私は押された)
- タイプ2:Yは(Xに)ZをV-(ら)れる型(例:私は足を踏まれた)
持ち主の受身はタイプ2にあたります。
Zには体の一部や持ち物などが入ります。
『現代日本語文法②』では、 直接受身と間接受身の中間的な存在として扱っています。
能動文と同じ出来事を描く点で直接受身と似ており、能動文にない持ち主が主語として加わる点で間接受身と似ていると説明しています。
『日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド』では直接受身・間接受身とは独立した3種類目として扱っています。
「影響を受ける目的語(所有物や身体の一部)の所有者が主語となる」と説明しています。
『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』では、間接受身の一種として触れています。
「意味的には必ずしも迷惑を意味するとは限らない」とも書かれています。
どれも「なるほど!」と思うところがあって、今のところ「これが絶対正解」という決まりはなさそうです。

専門家でも意見が分かれる部分なので、私たちが迷うのも無理ないですよね✨
この記事では、直接・間接・持ち主と、独立した3つ目として扱っています
「持ち主の受身」は迷惑とは限らない
間接受身は迷惑を表すことがほとんどでしたが、持ち主の受身は必ずしも迷惑とは限りません。
(私は)足を踏まれた。← 痛い!迷惑!
(私は)息子をほめられた。← うれしい!

体の一部を「される」場合は迷惑・被害になることも多いですが、関係者(家族など)の場合はうれしいこともあります。

ほめられたらうれしいよね!
教科書から見る「持ち主の受身」
「実際の授業で間接受身がどう出てくるのか?」を知っておくと、教えるときのイメージが湧きやすいです。
国際交流基金のテキストいろどりでは、初級2の第11課で出てきます。
(いろどりは、入門→初級1→初級2→初中級の順にレベルが上がります)
トピック「上手な買い物」の中の「自転車を盗まれました」という場面で扱われています。
Can-doは「買い物中などにトラブルがあったとき、周りの人に伝えることができる」です。
- 文型:NをV-(ら)れます
- 例文:(私は)自転車を盗まれました。



使われる場面や状況がとてもわかりやすく、説明も多言語で見られます。
無料で公開されているので、ぜひチェックしてみてください!
おまけ:私の「持ち主の受身」エピソード
実は私には「持ち主の受身」にまつわる忘れられないエピソードがあります。
兵庫から東京の大学に進学したのですが、初めての自由な生活にはめをはずし遊びまくっていました。
そして、引越し作業を姉と祖母に任せて、引越し当日、私は友だちの家で朝まで遊んでいました。
引越し先に着いたら、荷物が一つ見つからない!
焦って当時の私が言い放った一言:
「おばあちゃんに荷物なくされた!!」
…これ、持ち主の受身ですね。
「私の荷物」をなくされた、つまり荷物の持ち主=「私」が主語になっています。
この後、それを聞いた母にみっちり絞られましたが(笑)
今思い出しても恥ずかしいやら申し訳ないやらで、当時の自分をひっぱたきたくなります😩
当時の自分、最低ですね…
ですが、今「持ち主の受身」を理解するヒントとして、昇華させようと思います…。
まとめ
持ち主の受身について説明しました。
| どんな受身? | 体の一部・持ち物・関係者を「される」受身 |
| 主語 | 持ち主 |
| 使う動詞 | 他動詞 |
| 迷惑? | 迷惑とは限らない |
持ち主の受身のポイントは「持ち主を主語・主題にする」ことです。
体の一部や持ち物そのものではなく、その持ち主が主語になる。
これが日本語学習者にとって難しいポイントのひとつです。
受身は教えようと思うとどう伝えていいか迷う表現の一つですよね。
私もまだまだ勉強中です!よかったら一緒にがんばりましょう。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
この記事を書くのに参考にしたもの