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冷蔵庫で食材を腐らせちゃった〜!わたしが忘れてたせいなんだけど・・・
こういう時って『食材が腐った』も『食材を腐らせた』も使えるよね?
オンライン日本語教師のちゃそです!
私は料理が得意ではないので、ときどき冷蔵庫に入れておいた食材が腐ってしまいます🙄
でも、私が忘れていたせいで・料理に使わなかったせいで“腐った”、と言いたいなら「腐らせた」のほうがしっくりきますよね。

「腐る」って自動詞なのに、「腐らせた」って使役の形にすると、なんだか他動詞っぽいね?
自他のペアがない自動詞のとき、「腐らせる」のように使役を他動詞の代わりに使えることがあります。
今回は、そんな「使役を他動詞の代わりに使う」表現について、『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』を参考に整理してみました
自動詞と他動詞のペア
まず、自動詞と他動詞のペアって、どのように使いますか?
例えば、「開(あ)く(自動詞)/開ける(他動詞)」のペア。

「ドアが開いた」と言うと、ドアそのものに焦点がある感じになるよね

「ドアを開けた」と言うと、動作主(誰か)がドアを開けたことが伝わるね
自動詞他動詞のペアがある動詞の場合は、こうなります。
- 動作主に焦点があるとき → 他動詞
- ものに焦点があるとき → 自動詞
それから、もう一つ。
自動詞には「意志的自動詞」と「非意志的自動詞」の2種類があります。
- 意志的自動詞:走る、泳ぐ、行く、立つ など
- 非意志的自動詞:割れる、落ちる、閉まる、壊れる など
そして、自動詞他動詞のペアがあるのは「非意志的自動詞」のほうです。

「割れる/割る」「落ちる/落とす」「閉まる/閉める」「壊す/壊れる」ってペアがあるね
今回は、「非意志的自動詞」だけどペアになる他動詞がない自動詞についての話です。

例えば「(雨が)降る、(星が)光る、(花が)咲く」なんかは、非意志的自動詞だけどペアになる他動詞がないよね
ペアがある自他動詞・ペアがない自他動詞については、詳しくはこちらの記事で書いています👇
「腐る」はペアの他動詞がない

「腐る」は非意志的自動詞ですが、ペアになる他動詞がないですよね。
「食材が腐った」と言うと、食材について話していて「食材がどうなったか」ということが伝わります。
誰のせいで腐ったかはわかりませんし、そもそも誰かのせいで腐ったのかどうかもわかりません。

でも、私が使うのを忘れていたせいで、「食材が腐った」と言いたい時はどうすればいいのかな?

ペアがある動詞なら、他動詞を使えば「誰がやったか」を伝えられるけど・・・。
例えば「ドアが開いた」を「私がドアを開けた」と言えば、「私が」やったことが伝わるよね
でも、「腐る」にはペアの他動詞がありません。
「食材を腐す?」…そんな他動詞はないですよね。
そんなときに登場するのが、使役形です。
「食材を腐らせた」と使役の形で言うと、「私が(忘れていたせいで)腐らせた」と、「誰がやったか」が伝わるようになります。
他動詞と、自動詞の使役形の関係
なぜ使役形が他動詞の代わりに使えるのでしょうか?
それは、他動詞と使役が似た関係にあるからです。
『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』に、自動詞と他動詞の関係について、次のように書かれています。
(これは、自他のペアがある動詞(割る/割れる)の場合の話です。)
※引用中の Vi は自動詞、Vt は他動詞のことです。
自他の対応が存在する場合、典型例では両者の間に次のような意味上の関係があります。
XがVi
YがXをVt
Yが [XがVi] ことを引き起こす例
ガラスが割れる
太郎が ガラスを割る
太郎が[ガラスが割れる] ことを引き起こす
つまり、他動詞は、動作をする人(Y。動作主)が自動詞で表される出来事を引き起こすという関係を表しています。
この関係は使役と似ています。引用『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』p.103-104
「ガラスが割れる」は自動詞
「太郎がガラスを割る」は他動詞 ですよね。
「太郎がガラスを割る」というのは「太郎が、“ガラスが割れる”という出来事を引き起こしている」という関係を表しています。
初級を教える人のための日本語文法ハンドブックでは、この関係は使役と似ていると説明されています。
確かに、使役にも同じような構造があります。
例えば、
野菜が腐る
太郎が野菜を腐らせる
太郎が[野菜が腐る]ことを引き起こす
ハンドブックでも、こう続けて書かれています。
対応する他動詞を持たない非意志的自動詞では使役形が他動詞の代わりに使われます。

他動詞と使役は、「動作主が、何かの出来事を引き起こす」というところが似ているんですね
使役が他動詞の代わりになる例
「野菜を腐らせた」以外に、ほかにもこんな例があります。
- 暗闇で猫の目が光った → 暗闇で猫が目を光らせた
- 水温が上昇した → 山田さんが水温を上昇させた
どちらもペアになる他動詞がない非意志的自動詞です。
使役の形にすることで、「誰がやったか」が感じ取れる文になっていますね。
整理してみましょう。
| 自動詞 | 他動詞 | 例文 | 備考 |
| 閉まる | 閉める | 山田さんがドアを閉めた | 自他ペアあり |
| つく | つける | 私が電気をつけた | 自他ペアあり |
| 壊れる | 壊す | 弟がおもちゃを壊しまた | 自他ペアあり |
| 腐る | ー | 私が野菜を腐らせた | 自他ペアなし→使役で代用 |
| 枯れる | ー | 水をやり忘れて、観葉植物を枯れさせた | 自他ペアなし→使役で代用 |
| 光る | ー | 監督が選手の才能を光らせた | 自他ペアなし→使役で代用 |

ペアがあるときはふつうに他動詞を使って、ない時は使役形で代用だね

代わりにはなるけど、ちょっと間接的な影響って気はするね
このあたりは、また調べてみようと思います
まとめ
今回は、ペアがない非意志的自動詞のときに、使役を他動詞の代わりに使うという話をしました。
ペアの他動詞がない非意志的自動詞は、このようになります。
- 「誰がやったか」を伝えたいときに、使役の形で他動詞の代わりに使う
- 他動詞と使役が「動作主が出来事を引き起こす」という点で似ているから
「腐らせた」「光らせた」「上昇させた」みたいな使役の表現に出会ったとき、「これって他動詞の代わりに使われているんだな」と思い出せたらOKですね✨
これを知っていれば、他動詞の代わりとして使役形が出てきたときに、焦らなくてすみます
自動詞他動詞の基礎についてはこちら👇
最後まで読んでくれてありがとうございます!
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