「〜てある」学習者はどこで迷う?授業中の疑問から考えてみた

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「〜てある」学習者はどこで迷う?授業中の疑問から考えてみた

オンライン日本語教師のちゃそです!

先日、文型を復習することがメインの授業で「V-てある」を扱いました。

「パーティーの準備ができたかどうかを確認する」という場面設定で会話練習をしました。

ちゃそ
ちゃそ

1対1の授業なので、私と生徒さんの2人でパーティーの準備をしているという設定でした

A:ケーキは?

B:切ってあります!

A:プレゼントは?

B:もう買ってあります!

そんなやりとりをしていたとき、生徒さんからこんな質問が来ました。

生徒さん
生徒さん

「(ケーキは)切ってありました」は使えますか?

お悩みちゃん
お悩みちゃん

う~ん、別に使えるよね?文脈はちょっと変わるけど・・・

文法的には、「切ってありました」も使えますよね。



でも、生徒さんはどうしてこの質問をしたのでしょうか?

そこから考えてみました。

この記事でわかること
・「〜てある」の基本的な意味
・「〜てある」と「〜てあった」の違い
・なぜ学習者は「〜てあった」が言えるか聞いたのか




「〜てある」の基本

「〜てある」は、人が意図的に行った動作・行為の結果が、そのまま残っている状態を表します。

暑いから窓を開けた➡窓を開けてある
寒いから会議の前にエアコンをつけた➡会議室のエアコンをつけてある 

のように使います。

ポイントは2つです。

① 意図的な行為であること/意志動詞を使う

「〜てある」に使える動詞は意志動詞です。

意志動詞とは、自分の意志でコントロールできる動作を表す動詞のことです(例:冷やす、閉める、並べるなど)。

自然に起きたことには使えません。

✅ 空気を入れ替えたかったのか、ドアが開けてある(誰かが意図的に開けた)

❌ 風でドアが開けてある(自然に起きたことには使えない)

→自然に起きたことが言いたいなら「風でドアが開いている」を使います。

お悩みくん
お悩みくん

「誰かが意図してやったこと」というのが感じ取れるんだね




② 焦点は「状態」

誰がやったかより、今どういう状態かに注目した表現です。

誰かが意図的にやったことは背景にありますが、言いたいのはその「状態」です。


✅ 空気を入れ替えたかったのか、ドアが開けてある(誰かが意図的に開けた)

この文の言いたいことは「ドアの状態」です。

お悩みちゃん
お悩みちゃん

「誰がやったのか」じゃなくて「やった結果、今なにがどんな状態なのか」を話しているんだね




「~てあった」はどんな場面で使う?

じゃあ、生徒さんの質問にあった「~てありました」はどんな時につかうのでしょうか?

「〜てあった」は「〜てある」のタ形ですよね。

基本的な使い方では

  • 「〜てある」→ 話し手が今その状態だと認識している
  • 「〜てあった」→ 過去のある時点で確認したことを話している

という違いです。

例えば

緑の服の女性がA、青い服の女性をBとしましょう。

A:この店、替え玉無料みたいだよ。

B:え?そうなの?

A:うん、さっき入口の看板に書いてあったよ。ほら、このポスターにも書いてある

B:ほんとだー!じゃあ後で替え玉しよう♪

「書いてあった」はさっきお店にはいるときに、入口で見た看板のことを報告しています。

「書いてある」は今、店内の壁のポスターで確認できる状態です。

お悩みちゃん
お悩みちゃん

文法的には何の問題もなく「~てある」も「~てあった」も使えるね



なぜ生徒さんはこの質問をしたのか

では、最初の質問に戻ります。

A:A:パーティーの準備終わった?ケーキもう切った?

B:うん、ちゃんと切ってあるよ👍

生徒さん
生徒さん

ここ、「切ってあったよ」は使えますか?

生徒さんは、なぜこの質問をしたのでしょうか?

単純に「~てありました」という表現が存在するかどうかを聞いたのかもしれません。


ですが、今回は「〜ておく」との混同があったのかな?と思いました。

お悩みくん
お悩みくん

「(私が)ケーキを切っておきました」と混同したってことかな?





私のレッスンは1対1なので、私と生徒さんの2人でパーティーの準備をしているという設定でした。

つまり生徒さんは

  • 自分でケーキを切った
  • そのケーキの今の状態を話している

ということになります。

お悩みくん
お悩みくん

パーティーのためにケーキを切った➡そのケーキの状態 を話しているんだね




自分が切った → 自分が過去にやったことを言いたい → 「切ってありました」でもOK?

この発想になったのかなと思いました。

お悩みちゃん
お悩みちゃん

でも、「~てある」は“状態”が焦点になるんだよね?

ちゃそ
ちゃそ

そうです!『やったこと(行為)』が焦点じゃない!そこがポイントです!

「〜てある」は自分がやったことでも使えますが、誰がやったかは前面に出ない表現です。

誰かが意図的にやったという背景にありますが、焦点はあくまで「やった結果の状態」なんです。

お悩みちゃん
お悩みちゃん

じゃあ自分がやったこと(行為)を伝えたいなら?

その場合は「〜ておいた(〜ておく)」を使うのが自然です!


「~てある」は結果の状態に、「~ておく」は話し手の行為に焦点があるからです。


実際に学習者の誤用にもこのパターンが見られるようです。

❌ 週末友人を招待したから、今そうじをしてあった
✅ 週末友人を招待したから、さっき掃除をしておいた

参照:日本語誤用辞典

「〜てある」も「〜ておく」も、意図的な行為が背景にあるという点は同じです。


ただ「〜てある」は行為の結果の状態に焦点があります。

そして「〜ておく」は自分がやったことと、その意図を前面に出したいときに使います。

お悩みくん
お悩みくん

状態が焦点、行為が焦点、ここをはっきり伝えられるようにすることが大事なんですすね


「~ておく」についてはこちらの記事にまとめました。



反省点

今回の授業では、“文型の復習”という以前習ったという前提の内容だったので、「~てある」に注目するあまりこの違いを伝えることをしていませんでした。

「~ておく」の違いを説明する時間がなくても、「~てある」は”状態“の話をしているんだっていうことを、イラストを使ったり、場面設定しっかりして、もっとわかるようにするべきだったなと反省しています。

ちゃそ
ちゃそ

次回の授業ではもっとうまくできるように工夫します…!




まとめ

学習者の質問から、「~てある」について迷いやすいことを説明しました。


「~てある」を勉強するとき、よく一緒に比較されるのが「~ておく」です。

「~てある」は行為の結果の状態、「~ておく」は行為に焦点があります。


☑すぐ食べられるように、ケーキを切っておいたのか

☑すぐ食べられるように、ケーキを切っておいた➡だからケーキが切ってある状態なのか

何について話しているのかが違いますね。



この整理が、だれかの理解役に立てばうれしいです。



最後まで読んでくれてありがとうございます!

この記事を書くために使ったもの紹介

↑「いろどり」は「~ておく」と混同するような場面ではないので、使いやすいと思います✨

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