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「学生を走らせる」「学生に走らせる」
「を」と「に」どちらでもいい気がするんだけど、何が違うんですか?教えてください
オンライン日本語教師のちゃそです!
使役文や受身文を作るとき、ちょっと気にしなければいけないのが助詞ですよね!
「子どもを買い物に行かせる」と「子どもに買い物に行かせる」
どっちが正しいの?と迷ったことはありませんか?
実はどちらも正しいのですが、少し背景が違います。
この記事では使役文の被使役者(させられる人)に使う助詞、「を」と「に」の使い分けを整理します!
使役文の基礎についてはこちら↓
「に」しか使えない場合:他動詞
まずは「に」しか使えない他動詞から見てみましょう!
他動詞は動作の対象に「~を」を取ることがほとんどですよね。

「ご飯を食べる」とか「字を書く」とかだよね
そうです!
そのため、基本他動詞の使役文の場合は、被使役者を「に」で表します。
他動詞「読む」を例に見てみましょう
弟が 本を 読む(能動文)
田中さんが 弟に 本を読ませる(使役文)
田中さん=使役者(させる人)、弟=被使役者(させられる人)です。
他動詞には、すでに「本を」のヲ格がありますよね。

「本を読む」「本を読ませる」
「読む」の対象を示すための「を」があるよね
なので、もし被使役者(させられる人)を「を」で表すと「を」が2つになってしまいます。
✅田中さんが 弟に 本を読ませる(使役文)
❌ 田中さんが 弟を 本を読ませる

「を」だらけになっちゃうね💦
なので、他動詞の場合は、被使役者を「に」で表します。
息子が料理をする→ (私は)息子に料理を作らせた。
犬が新聞を取ってくる→ (私は)犬に新聞を取ってこさせた。
夫がたばこをやめる→ (私は)夫にたばこをやめさせた。
他動詞についてはこちら↓
「を」と「に」どちらも使える場合
使役文で
- 使う動詞が【自動詞】
- 被使役者が有情物(人・生き物)
の場合、「を」も「に」も使えることが多いです。
(※被使役者とは、「させられる人」「動作をする人」のことです。)
例えばこれです。
息子を働かせる。
息子に働かせる。
ただし、背景が少し違います
一般的に「を」と「に」はそれぞれ
- 「を」:息子の意志に関わらず働かせる(強制・指示)
- 「に」:息子の意志を尊重して働かせる(許可・放任)
このときに使われやすい傾向があると言われています。

息子が働きたくない場合も含め、息子の意志に関わらず働かせる場合は「息子を」
息子が自ら進んで働くように仕向ける場合は「息子に」
という感じです。

なんとなくわかったけど、正直そんなに大きな違いがないような気もする・・・
『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』によると、こうあります。
動作主の意向に逆らって『させる』場合には、ヲ格も二格も使われます。

先生は嫌がっている子どもたち{を/に}無理やり泳がせた。
つまり、このような、子どもたちが「泳ぎたくない!」と思っていても強制的に泳がせるような状況では「を・に」どちらも使えるようです。

じゃあ、結局、どっちでもいいの?

そうでもないんです。「を」と「に」の違いがよくでる場面・状況があるんです!
「勝つ」と「負ける」を使う文を見てみましょう

①息子のチーム{を/に}勝たせたい。
②相手のチーム{を/?に}負けさせたい。
『現代日本語文法②』によると
①「勝つ」の場合、チームメンバーを激励したり援助したりして、チームメンバーが自ら勝つ方向に動くように仕向けることができるので「に」も使えます。
一方②「負ける」の場合、相手チームのメンバーが自ら負けようとする方向に動くように仕向けることは通常できないですよね。

相手チームの人たちも、「勝ちたい!」って思ってるはず!
なので、「自ら進んで負けるように仕向ける」という意味になる「に」は使いにくくなります。
逆に、被使役者(動作する人)が自ら進んで動作を起こす場合には「に」の方が自然に聞こえます。

・そんなに行きたいんだったら君{?を/○に}行かせてやるよ。
・次は僕{?を/○に}走らせてください。
・オーナーはチーム{?を/○に}わざと試合に負けさせた。

ざっくりまとめると、強制的には「を」、わざとや、やりたくてさせるなら「に」って感じだね
「を」しか使えない場合
- 感情を表す自動詞
- 被使役者が無情物(モノ)
この場合は、「を」しか使えません。
くわしく見ましょう!
感情を表す自動詞の場合
「怒る」「泣く」「驚く」「困る」「笑う」など、感情が自然に起こることを表す動詞の場合は「を」を使います。
『現代日本語文法②』によるとこうです。
『笑う』『びっくりする』などといった心理的な動きは、被使役者の心の中で自然に起こるものであり、使役者が被使役者にそのように命じたとしても意識的に起こせるものではない。
つまり、感情は被使役者(させられる人・動作する人)の意志でコントロールできないからです。
・赤ちゃんを笑わせた。
・大きな声を出してみんなを驚かせた。
・両親を困らせた。

感情は「を」!
被使役者が無情物(モノなど)の場合
モノや植物など、意志を持たないものが被使役者(させられる人)の場合も「を」を使います。
・車を走らせた。
・野菜を腐らせた。
・イルミネーションを点灯させた。


モノには意志がないから、自らすすんでする「に」は使わないんだね
ただ、例外として「コンピュータ」「食器洗い機」のように、自分で作業をこなす能力を持つものは「に」をとることがあります。
コンピュータに複雑な計算をさせる。
食器洗い機に洗わせればよい。


最近なら「AIにやらせればいいじゃん」とかかな
まとめ
使役文の被使役者(させられる人・動作する人)を表す助詞について説明しました。
ポイント
「を」しか使えない場合:感情動詞・被使役者が無情物
「に」しか使えない場合:「を」格をとる他動詞(すでに「を」があるため)
どちらも使える場合:意志的な自動詞+被使役者が有情物(ただし「を」と「に」でニュアンスが異なる)
オンライン教師を始めたばかりのころ、テキストにあった会話例について
『私に同行させてください』と『私を同行させてください』、どっちが正しいですか?
という質問を受けたことがあります。

そのとき、すぐに説明できなくて焦りました
自分が同行したいという意志がある場合は「に」の方が自然です。
「を」だと自分の意志を無視して同行させられる感じが少し出る!とまでは言えないかもしれません。
でも、使い分けを知っておけば「こっちの方が自然だから、こっちを使えばOK」と不安にならず伝えられます。
私もまだまだ勉強中です!よかったら一緒にがんばりましょう♪
使役文について
私もまだまだ勉強中です!よかったら一緒にがんばりましょう♪
最後まで読んでくれてありがとうございます!
この記事を書くのに参考にしたもの